
vol.326
福田内閣誕生で「古い自民党」復活の声
安倍晋三首相(53)の辞任表明に伴う自民党総裁選は23日午後、党本部で開かれた両院議員総会で党所属国会議員と都道府県連代表による投票が行われ、福田康夫元官房長官(71)が麻生太郎幹事長(67)を破り、第22代総裁に選出された。福田氏は故福田赳夫元首相の長男。25日、臨時国会での首相指名を受け、憲政史上初の「親子首相」が誕生した。70歳以上の首相就任は村山富市氏以来戦後7人目。赳夫氏も同じ71歳で首相に就任している。総裁任期は、安倍首相の残り任期の平成21年9月までの2年間。
福田康夫・新首相は25日、組閣を行い、内閣の要となる官房長官に福田氏が所属する町村派の会長で、閣僚経験の豊富な町村信孝外相(62)、外相に高村正彦防衛相(65)、防衛相に石破茂元防衛庁長官(50)、文部科学相に渡海紀三朗元文部科学副大臣(59)を起用し、その他の閣僚は再任した。初の組閣にあたって福田氏は、安倍改造内閣が発足から1カ月弱しかたっていないことや、臨時国会中であることを考慮し、舛添要一厚生労働相(58)や冬柴鉄三国土交通相(71)らほとんどの閣僚を再任した。党総裁選で戦った麻生氏を支持した鳩山邦夫法相(59)と甘利明経済産業相(58)も再び任用した。
安倍改造内閣の閣僚で、閣外に去ったのは与謝野馨官房長官と自民党幹事長に就任した伊吹文明氏だけ。
福田氏は麻生氏の重要閣僚起用を検討し、24日から断続的に電話で就任を要請したが、麻生氏は固辞した。
同日夜、首相官邸で指名後初の記者会見を行い、「政治とカネ」の問題をはじめとする政治不信の解消を第一の課題に掲げ、年金問題の解決や1円以上のすべての支出について政治資金収支報告書に領収証の添付を義務づけることなどに取り組む決意を表明。また、内閣のキャッチフレーズについて、「一歩でも間違うと自民党は政権を失いかねない。緊張した日々を送らなければならない」と述べ、「背水の陣内閣」と銘打った。
24日に行われた自民党役員人事では、幹事長に伊吹文明文部科学相(69)、政調会長に谷垣禎一元財務相(62)の起用を決めた。二階俊博総務会長(68)は再任、選挙対策総局長を三役と同格の選挙対策委員長に格上げさせ、古賀誠元幹事長(67)を起用した。このほか、大島理森国対委員長(61)と細田博之幹事長代理(63)も再任した。
党役員人事は選対委員長も含めた「四役」に派閥の領袖を配置し、執行部は「重厚な布陣」(福田氏)になった。福田氏は当初、古賀氏に総務会長を提示したが、古賀氏が「自分は選対責任者が適任だ」と主張、これを福田氏が受け入れる異例の展開となった。
麻生氏197票の大善戦
総裁選は、国会議員票387票と地方票141票(都道府県連各3票)の計528票で争われた。
麻生派(16人)を除く8派閥が支持を表明した福田氏は、議員票で254票を得たほか、地方票でも76票と過半数を確保、全体で330票を獲得した。麻生氏は197票と目標の200票にわずかながら届かなかったものの、福田氏を支持した派閥からも議員票が流れた形で、地方票では都市部を中心に65票を集め、福田氏に11票差まで迫った。3度目の自民党総裁選挑戦で、またも夢かなわなかった麻生だが、総裁選中に注目されたのが若い世代を中心にふくれ上がった麻生ファンの存在。23日も東京・永田町の自民党本部前で「麻生さんを総理に」「民意は麻生にあり」などと熱く訴えた。
この日正午過ぎから集まり出した麻生ファンは投票が始まる午後2時前には数百人に。10〜20歳代のジーンズにリュックサックを背負った大学生や会社員らが多く、中にはスーツ姿のサラリーマンもいた。
会見を終え自民党本部を出た麻生氏は道路を挟んで大歓声をあげるファンに向かって歩き出し、中央分離帯へ。両手をあげ、「ありがとう」と大声で何度も応じた。あまりの熱狂ぶりと麻生氏の突然の行動に、警備の警察官らがあわてて道路を封鎖するなど混乱する一幕もあった。