
vol.326
安倍首相は病院で無念の会見
安倍晋三首相は24日、東京・信濃町の慶応大学病院で入院以来初めて記者会見し、自らの辞任表明について「(臨時)国会の冒頭、所信表明直後の最悪のタイミングとなり、何より国民に多大な迷惑をかけたことを改めておわびしたい」と陳謝した。辞任理由については「体調が悪化し続け、体力に限界を感じ、首相の責任を全うすることができないと決断し、辞任表明となった」述べた。
12日の辞任会見で、自らの体調に言及しなかった理由に関しては、「首相は在職中に自らの体調について述べるべきではないと考えていた。しかし、辞任の最大の要因である健康状態について率直に話すべきだった」と述べた。
辞任表明後、入院から11日ぶりに姿を現した安倍氏はほおはげっそりとやせ、目に力はなく、声もかすれ気味で張りがないなど、総裁選で圧勝し、自らの政策を熱く語った1年前のはつらつとした姿はなかった。
安倍氏は、午後5時過ぎに、ゆっくりとした足取りで会見場に登場。中央の椅子に静かに座ると、「どうしても一言、国民のみなさんにおわびを述べさせていただきたい」と低い声で切り出した。
「一国の総理として辞任の最大の理由を説明しなかった判断をどう考えるか」「臨時代理を置かなかった理由は」。次々と繰り出される質問に、一つずつ言葉を選びながら答えた。病状のため乾燥するのか、唇を何度も舌で湿らせていた。
主治医らが同席する異例の会見。「点滴と安静で数日で回復されることを期待したが、食欲がなかなか回復しなかった」。安倍首相の体調を説明し、体重が5キロ減ったことも明らかにした。
ただ、質問が麻生太郎前幹事長の「クーデター説」に及んだときには質問した記者の目をしっかりと見据え、はっきりとした口調で「全く違う。そんな事実はない」と否定した。
25日には入院先の病院から首相官邸に入り、自ら主宰する最後の閣議で内閣を総辞職した。「内外に山積する課題を前に去ることは、まことに断腸の思いだ」と語り、無念さをにじませた。首相在職日数は、ほぼ1年にあたる366日で、現行憲法下では歴代7位の短命。祖父、岸信介元首相の1241日に及ばず、歴代3位の1980日を務め上げながら余力を残して退陣した小泉純一郎元首相と比べると、寂しい幕引きとなった。