今週のTOKYO HEADLINE
vol.328
(2007.10/15-10/21)
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撮影/加藤大毅
MOVIE vol.328

大衆演劇が生んだ、最も美しい日本男子

早乙女太一

華麗な舞踏や人情芝居で愛されている大衆演劇に、再びスポットライトがあたっている。100年に1人と呼ばれる天才女形、早乙女太一の登場で、新しいファンが劇場に殺到。その盛り上がりは大衆演劇そのものにも波及している。「大衆演劇をやられている方は他にもたくさんいらっしゃいますし、たまたま僕を注目してくれているだけなんで」と、本人は言うが……。

絶世の美女となってため息が出るような舞いを見せれば、日本人のソウルに響く人情劇では、男気あふれる青年に転じて華麗な立ち回りも見せる。フィナーレを迎えれば、惜しみない拍手とたくさんの「お花」が送られる。「ナガシメ王子」の呼び名で注目を集めている、劇団朱雀の二代目、若干16歳の早乙女太一は、熱い視線を一身に集めながら、今日も舞台に立っている。

浅草大勝館を訪れた。この日も会場が満員御礼。年季の入った大衆演劇ファンから、早乙女ファンとおぼしきニューフェイスたちもちらほら。彼がテレビや映画で活躍することが、新しい客を大衆演劇に呼び込んでいる。

「そこまでは意識してないです。僕の前にも大衆演劇という場所で、僕が今歩いている道を切り開いてくれた人がいて、ありがたいことに今はみんなが僕に注目してくれている。それだけだと思っているので。先を行ってくれた人が開けてくれた入り口をもっと広く開けるようなことができればいいとは思いますけど、僕もそんな大したものではないので……」

 4歳で初めて舞台に立った。それからずっと舞台で成長してきたといっても過言ではない。今でこそ、北野武監督の『座頭市』や『TAKESHI'S』などを筆頭に、劇団朱雀や大衆演劇という枠を超えて活躍中の彼だが、彼が役者をやっていくんだと自覚したのは、4年前ぐらいのことだという。

「ずっとやってくのはどうかなって思ったときもあったんです。……僕は、10歳ぐらいのころから、映画やテレビに出させてもらうようになって、とってもありがたいことだったって今は分かってるんですけど、当時はそういうところだと“振り付けを習わされる、踊らされている”っていう感覚がすごくあって、楽しくなかった。そのころは、踊りだけしかやってなかったから余計にそう感じたところもあるとは思います。ただ、その後芝居もやるようになって、いろんな経験していくうちに、もっと芝居をやらなくちゃいけない、素直にこれをやりたいなって思えたんです。それがたぶん自分が役者なんだって自覚した時、12、13歳ぐらいだったと思いますけど。今は一番芝居が好きです。もっとやって、自分のものにしていきたいって思ってます」

 芝居を突き詰めていくことと同時に、ショーを作りあげることにも興味を持っているという。

「あくまで、自分をどうカッコよく見せるか、っていう意味でですが。自分たちの劇団だけでやる場合には、好きなようにショーを作ることもできるんです。踊りは、僕が振り付けをするんですが、周りの人たちがどう踊ればいいのか、そのなかでどこに見どころを作っていくか、そういうことを考えるのが楽しい。カッコよさとは? う〜ん、分からないですね。今はそのカッコよさとは何なのか、勉強中です」

 もっともっと、と精進を誓う。それは、朱雀の2代目として、座員を引っ張っていく立場であることも影響しているだろう。

「僕を見るために劇場に足を運んでいただいたお客さんが他の人のファンになっちゃったりする…言葉は悪いですけど、お客さんを横取りされることって、前はすごい嫌でした。けど、今はそういうふうには受け取らなくなりましたね。僕が朱雀以外で活動することって他の人にとってチャンスなんですよ。役が1個上がったり、踊りの部分でも僕の代わりとして入ったりできる。勉強もできるし。お客さんがつけば、自分の給料にも結びついてくるわけだから」

 現在は大河ドラマ「風林火山」に北條新九郎役で出演中。座長公演もあるが、春には赤坂ACTシアターのこけら落とし公演「トゥーランドット」にも出演が決定している。「家みたいなもの」という朱雀を留守にすることもますます多くなりそうだ。

「あまり留守にしすぎて居場所がなくなっちゃったらどうする」と意地悪く尋ねてみると、「…どうしましょう」と不敵な笑みを浮かべた。そんなことにはならないー。100年に一度の天才女形、そして役者として自信をつけ始めた16歳の笑みは、ステージで見せるものよりもさらに色っぽかった。




(本紙・酒井紫野)

★女形、芝居、立ち回り…魅力が詰まったDVD「早乙女太一 十五歳」を発売

 劇場に足を運ばなければ見られなかった、早乙女の艶やかさや磨き上げられた技を凝縮した、DVD『早乙女太一 十五歳』(ポニーキャニオン、6000円・税込)がこの17日に発売される。
「自分でどうしたらいいか分からなかったのでお任せしてやってもらいました」という本作には、女形姿での舞踏、剣技、芝居、海外公演のオフショット映像などを収録しており、早乙女太一のさまざまな魅力が一度に見られる。ちなみに「自分のなかでは、立ち役のほうが好き。カッコいいし、単純に立ち回りが好きだから」とのこと。
 早乙女太一の今、そしてこれからを感じれられる本作。ぜひ、チェックして!


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