
vol.331
猿橋NOVA前社長に特別背任の疑い
経営破綻した英会話学校最大手、NOVA(大阪市)の猿橋(さはし)望前社長が、同社が会社更生法の適用を申請する前後に、自身が実質的に支配する関連会社2社の保有株をすべて売却していたことが30日、分かった。保全管理人の東畠敏明弁護士が、記者会見して明らかにした。
うち1社はNOVAへの機材販売で不透明な資金の流れがあり、特別背任容疑などに当たる可能性もあるという。
東畠弁護士によると、猿橋氏が売却していたのは、同社の遠隔通信授業「お茶の間留学」用のテレビ電話などを販売する関連会社の「ギンガネット」(大阪市)と、旅行代理業の「NTB」(東京都)の2社の株。
いずれも猿橋前社長が実質的に支配していたが、大阪地裁が保全命令を出した26日の前後、全株を売却したという。
NOVAはギンガネットを通じ、「お茶の間留学」の機材を仕入れ値の数倍で購入して受講生に販売。NOVAは毎月、ギンガネット側に数千万円を支払っていたとみられ、平成14年からの5年間に同社に支払われた総額は約82億円にのぼるという。
東畠弁護士は「NOVAを通じて、受講生から金が流れる仕組み」と述べ、ギンガネットを実質的に支配していた猿橋前社長に特別背任などの疑いもあるとみている。
豪華すぎる社長室に広報担当「ふざけるな」
東畠弁護士らのこの日の会見で、猿橋前社長による会社を私物化した行動が次々と明らかになった。所得は17年度で3億900万円だったが、ほぼ同時期の会社決算は31億円の赤字。「みんなが苦労しているときに高額報酬を取っていた。本当のオーナー経営者なら、従業員のためにお金を残してあげてほしかった」と語った。
会見後には、報道陣にNOVAの関連部署が入る大阪市浪速区のビル20階にある猿橋前社長の社長室が、東畠弁護士によって公開された。広さ約100坪。一面に靴が沈み込むようなワインレッドのカーペットが続く。商談に使用していた部屋には、ドンペリなど高級酒が並ぶバーカウンターや市内を一望する木組みのテラス。バーカウンターの奥には“隠し部屋”とみられる8畳の和室、さらにその奥には、居住スペースもあり、ダブルベッドや大型テレビ、サウナなどが完備されていた。
少なくとも約400億円の前払い受講料の返還のめどが立たず、外国人講師らの約40億円の未払い賃金も支払われないNOVAの現状にそぐわない、一流ホテルのスイートルームのような豪華な空間。
社長室は6000万〜7000万円で作られ、会社が月額270万円の家賃を負担。東京にも同じような社長室があるという。側近中の側近しか入室を許されず、社長室を初めて見た広報担当社員は思わず「ふざけるな」と怒りの言葉を漏らした。
東畠弁護士は「企業私物化の象徴だ」と厳しい言葉で言い放った。