
vol.331
アルゼンチン大統領選は現大統領夫人が勝利
28日に投票が行われたアルゼンチン大統領選は中道左派でキルチネル現大統領夫人のクリスティナ・フェルナンデス上院議員(54)が2位以下に大差を付け勝利した。夫婦で権力の頂点をめざす政治的野心から「南米のヒラリー」とも、ブランド品で固めた華やかな装いから「エビータの再来」とも評されるフェルナンデス氏が今後どう手腕を発揮していくのか、注目されている。
フェルナンデス氏は28日夜、ブエノスアイレス市内の会見場に姿を現し「大勝は、私に特権を与えるものではなく、より大きな義務と責任を負わせるものだ」と勝利宣言した。そして夫が見守るなか「われわれは2003年以降、貧困、失業そしてアルゼン チン国民に多大な打撃をもたらした問題と戦ってきた」と言明。その上で「これまでとは違った歴史を作ることになる」との見通しを示した。
アルゼンチンの女性大統領は、1974年にペロン大統領(当時)の死去に伴い、3番目の妻で副大統領の座にあったイザベル夫人が昇格したのに続き2人目だが、選挙で選ばれたのは今回が初めて。
フェルナンデス氏は軍政下の70年代に左翼活動に身を投じ、キルチネル大統領と知り合い結婚。その経歴から、人権問題に敏感で弱者の味方とのイメージが定着しているが、同時に、濃いメーキャップ、ブランドもので固めた服装といった派手な外見でも知られる。こうした点が、やはり弱者救済を旗印にしながらも派手な私生活を送ったペロン氏の2番目の妻、故エバ・ペロンさん(通称エビータ)と重なり、「エビータの再来」と呼ばれることも多い。
夫婦間で民主的に政権が引き継がれるのは世界でも極めて珍しく、元ファースト・レディーから大統領の座を目指す米国のヒラリー・クリントン上院議員としばしば比較される。
2人とも弁護士を元々の職業としていたこと、夫の政権運営に密接にかかわっていたことなど、共通点は多い。フェルナンデス氏は米誌タイムとのインタビューで「夫が大統領になる以前から、私は上院議員だったということを忘れてほしくない」とヒラリー氏との違いを指摘し強い自負心をのぞかせつつ、「女性の政治参加という点で、ヒラリー氏との共通点は多い」とも認めている。