
vol.333
新テロ法案 衆院通過はしたものの…
インド洋での海上自衛隊の補給活動を再開するための新テロ対策特別措置法案は13日の衆院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決し、衆院を通過した。法案は参院に送られたが、与野党の勢力が逆転している参院では、第一党の民主党が自ら提出したイラク復興支援特別措置法廃止法案の審議を優先させることを主張しており、審議入りは12月にずれ込む可能性も出てきた。
民主党の平田健二参院幹事長は13日、月内の審議入りは難しいとの認識を示したうえで「廃止法案の審議が進まなければ新テロ法案の審議に入るわけにはいかない。(採決は会期末の12月)15日まで難しい」と述べた。
新テロ法案の記名採決では455票の投票総数のうち賛成は327票を占め、3分の2を上回った。憲法の規定では参院で否決されても、衆院の3分の2で再議決すれば法案を成立させることができる。自民党内では再議決もやむを得ないとの強硬論が強まっており、自民党の大島理森国対委員長は衆院通過後、記者団に「衆院の3分の2以上の数で送った。参院では速やかに議論してもらいたい」と述べた。
福田首相は13日夕、首相官邸で記者団に、今後の法案審議に関し「(民主党が)理屈抜きに反対というのであれば話し合いにならないが、よく説明をしていかなければならない」とし、野党側に修正などに応じるよう働きかけを続ける方針。その一方で、問責決議案が可決された場合の解散の可能性については、「それは状況次第だ」と含みを残した。
14日には、政府・与党は臨時国会を1月末まで大幅に再延長する方向で検討に入った。参院野党の強硬姿勢を踏まえ、憲法59条に基づき、60日間で法案を衆院に返付し「3分の2」条項で再議決するしかないとの判断に傾いたため。臨時国会閉会2日後に通常国会を召集する事実上の「通年国会」になる公算が大きい。同様の事態は平成5〜6年の細川護熙連立内閣以来、14年ぶり。与党内には「年内解散」や「年明け解散」の可能性を薄め、解散を7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)後に持ち越したいとの考えが強まっている。
国対関係筋によると、19日の参院本会議で新テロ法案の趣旨説明を行うという与党側の要求を参院野党が拒絶すれば、12月15日の会期末までの採決は絶望的になる。
また守屋武昌前防衛事務次官の過剰接待問題をめぐる東京地検の捜査の進展具合で国会空転もある。これを受けて、与党執行部では「小幅な再延長では意味はない」(自民国対幹部)との声が強まった。
鳩山兄弟がミニ連立!? 憶測呼ぶ私塾開設
かつて不和も伝えられた鳩山由紀夫(民主党幹事長)・邦夫(法相)兄弟が14日、都内のホテルに集い、次世代の人材育成を目指して開設する私塾「鳩山友愛塾」の準備会合を開いた。両氏とも「政治的な話はなかった」と口をそろえたが、自民、民主両党の大連立構想が頓挫した直後だけに憶測を呼んでいる。
塾は来年4月に開講予定。両氏の祖父、一郎元首相が理念に掲げていた「友愛」にちなんだ。塾長は両氏の実姉が務め、年間約20回の講義のうち、8回は塾長代行に就任する鳩山兄弟が担当。生徒は政治家を目指す人に限定しないという。
会合は今月2日の党首会談を受けた民主党の小沢一郎代表による辞意表明前後に計画していたが、「あまりにもタイミングが悪い」(由紀夫氏)と延期。由紀夫氏は「祖父がやったのは保守合同。それと大連立は簡単につながらない」と政界再編への布石を否定した。
安倍さん久しぶり
自宅療養中の安倍晋三前首相が13日、9月25日の首相指名選挙から約1カ月半ぶりに衆院本会議に出席した。「職を賭す」とした新テロ対策特別措置法案の採決で、福田康夫首相の直後に賛成票を投じると議場から大きな拍手がわいた。
安倍氏は本会議開会5分前に衆院本会議場に姿を見せた。入院直前に比べ、血色も良く、伊吹文明幹事長や麻生太郎前幹事長らと次々に握手を交わした。投票後は首相席に向かい、福田首相と握手。続いて太田昭宏代表ら公明党幹部席に行き、何度も頭を下げた。
本会議終了後、安倍氏は記者団に「国民の皆さまに大変ご迷惑をかけたが、体調はだいぶ回復した。インド洋での補給活動は国際社会から期待されている大切な活動なので法案の衆院通過は本当によかった」と語った。