
vol.333
船場吉兆がパートに偽装表示強要
高級料亭吉兆のグループ会社、船場吉兆(大阪市)の偽装表示問題で、福岡市の百貨店岩田屋に出していた店舗の販売責任者だったパートの女性とアルバイト経験者3人が14日、福岡市内で会見し、店を仕切っていた湯木尚治取締役(九州地区担当)から「ラベルに記す期限を1カ月くらい延ばせ」とたびたび指示を受けたことを明らかにした。偽装発覚後の10月31日夜、同取締役から「『すべてパートの責任』とする書類に署名を迫られた」とも述べた。
湯木取締役は「発注ミスで在庫を抱えた責任者が独断でやった」と福岡市に報告したが、自身が偽装を促した組織ぐるみの疑いが強まった。女性らが本店に送った日報を精査した農林水産省は「期限切れ商品を売っていたことが明白に分かる」としており、本店も偽装を把握していたとみている。
女性らによると、同取締役は期限間近の菓子や総菜について「そんなん、日持ちがするんやで。1カ月くらい延ばし(延ばせ)。頑張って売って」と命令。女性は「毎日、仕事の一部として期限のラベルを張り替えていた。(取締役が)怖くて、意見を言えるような雰囲気ではなかった」と明かした。
売り上げと在庫状況を記載した日報は、毎日正確に記入してファクスで本店に送っており、女性は「売れ残りや期限切れは日報を見れば分かる。本社も偽装販売を知っていたはずだ」と述べた。
ラベルの張り替えは、新しく入った従業員に日常業務の一環として“伝授”。平成18年2月には、別の百貨店の催事で売れ残った期限切れの黒豆プリンを売るよう指示されたこともあった。女性が偽装発覚後の書面への署名を「事実と違う」と拒否すると同取締役に「自分を守る前に、会社を守れ」などと怒鳴られたという。
農林水産省は、パート女性らの告発に「もはや食品表示問題の域を越えている」と驚きを隠さない。福岡での菓子や総菜、大阪での牛肉・鶏肉などの偽装について、同省は「不適正表示の責任は明らか」と9日に日本農林規格(JAS)法に基づく行政指導を行ったが、12月10日までに新たな事実や責任の所在を含めた改善報告書の提出を求めており、報告を基に再度、確認調査に入る予定。