
vol.334
INTERVIEW
フランソワ・オゾンが20世紀初頭の英国文学界を舞台に描く“女の夢”のゆくえ
『エンジェル』
ロモーラ・ガライ
『8人の女たち』『スイミング・プール』のフランソワ・オゾン監督が、総製作費およそ25億円をかけ、20世紀初頭の英国を舞台にした初めてのコスチュームドラマ(史劇)に挑戦! 新たなる“オゾンのミューズ” ロモーラ・ガライにインタビュー!
フランソワ・オゾン監督がファンを新たな世界へと誘う話題作がいよいよ公開。最新作『エンジェル』は、1905年のイギリスを舞台に、ひたすら夢を追いかける女性の悲喜を見つめる、スイート&ビターな物語。ヒロインは食料品店を営む母と暮らすエンジェル。自らを天才作家と信じる彼女は、並外れた想像力でロマンス小説を書き上げ、見事作家としてデビュー。瞬く間に有名女流作家となった彼女は、すべてを手に入れたかのように思えたが…。オーディションに勝ち抜いて、ヒロイン・エンジェルを射止めたロモーラ・ガライ。本作では15歳から40代までを一人で演じきり、オゾンの新たなるミューズとして注目度急上昇中だ。
「そもそも、私はオゾン作品が本当に好きで、オゾン作品のオーディションがある以上、受けない理由なんてなかった。でも、まさか自分が選ばれるなんて思いもよらないことだったの。だから2次オーディションに呼ばれたときも、4次のときも、本当にうれしかった。そうこうしているうちにこの役に決まったのだけれど、今でも信じられないくらい。“エンジェル=ロモーラ・ガライ”というふうに自分の名前でこの映画が公開されるなんて、思ってなかったから(笑)」
その朗らかな笑顔は、少々アクの強いエンジェルを演じているときとは、イメージがガラリと変わる。
「エンジェルは野心家で、傲慢で、かなり欠陥のある女性よね(笑)。でも、これまでの映画では大概そういう人物は男性で、女性キャラクターというのは珍しかった。だからエンジェルという人物がユニークで興味深いものになっているんだと思う。エンジェルは、一生に一度演じることができるかどうか、というくらいに素晴らしいキャラクターよ」
フランソワ・オゾンといえば“女性映画の才人”。その作品は、女性監督によるもの以上に、女性たちに愛される。ワイン片手に、オゾン監督と“女性論”を交わしたらさぞかし楽しいだろう。
「なんといってもオゾン監督はフランス人ですからね、撮影が終われば毎晩皆でワインとタバコを数十本と、楽しんでいたわ(笑)。それで、実は私もそういう話を監督にしてみたんだけど、あまり乗ってくれないの(笑)。私が思うに、監督は“女性を描く”ということについて特に意識したり考えたりはしていないんじゃないかしら。監督が描きたい人物というのがあって、それを表現して一人のキャラクターを表現してみたら、たまたまそれが女性だった…そういうことなんだと思う。でも、だからこそフランソワ・オゾンという人は素晴らしい才能を持っているといえる。意識せずに女性を客観的にとらえることができるんだから」
オゾンに寄せる信頼は絶対だ。
「この作品で、まず最初に監督に尋ねたことが“エンジェルが年を取っていく姿をどのようにして見せるのか”ということだった。当初私は、特殊メイクか何かを使うのかなと思っていたんだけど、監督はこう言ったの、“そのままでいいんだよ、エンジェルは年をとらないんだから”って。というわけで、エンジェルは年をとる特殊メイクなどはまったく使っていない。特に、少女から女へと成長した後は、まったく年をとってないように見える。衣装や化粧、カツラは多少変わるけれどね。監督はこうも言ったわ。“観客は、人間が時とともに年をとることも、年をとったらどうなるかも、ちゃんと分かってる。だからわざわざ、それを見せなくても大丈夫なんだよ”とね。それを聞いて、フランソワ・オゾンは真のフィルムメーカーなんだ、と改めて感じたわ」
最後に、ロモーラが持つ“野望”を尋ねてみると…。
オゾンのようなフィルムメーカーと、何作もコラボレーションを重ねられるような女優になること、かな。でも考えてみれば数年前まではオゾン作品に出演することが野望だったから、それはちょっと欲張りすぎかしら(笑)」
(本紙・秋吉布由子)
| 『エンジェル』
監督:フランソワ・オゾン 出演:ロモーラ・ガライ、シャーロット・ランプリング、サム・ニール他 ショウゲート配給/1時間59分/12月8日より日比谷シャンテシネ他にてロードショー http://angel-movie.jp/
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