
vol.335
収賄容疑で守屋前防衛次官夫妻逮捕
防衛装備品の調達で便宜を図った見返りに、防衛専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)からわいろを受け取ったとして、東京地検特捜部は11月28日、収賄容疑で前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)と、妻の幸子(さちこ)容疑者(56)を逮捕、贈賄容疑で宮崎容疑者を再逮捕した。特捜部は、守屋夫妻が長期にわたって受けたゴルフ接待をわいろと認定した。関係者によると、守屋容疑者は容疑を大筋で認め、幸子容疑者は否認しているという。
特捜部は同日、守屋容疑者の自宅などを家宅捜索した。
また、守屋容疑者が次官在任中、宮崎容疑者側から親族の銀行口座に約400万円の資金提供を受けていたことも新たに判明。特捜部は資金提供の趣旨についても調べる方針。
調べによると、守屋容疑者らは次官在任時の平成15年8月9日から18年5月6日までの間、防衛装備品調達でさまざまな便宜を図った見返りと知りながら、宮崎容疑者から12回にわたってゴルフ接待など(約389万円相当)を受けた疑い。
収賄容疑で公務員の配偶者が立件されるのは異例。収賄罪は公務員に適用される「身分犯」で、民間人には通常適用されない。しかし特捜部は、幸子容疑者も「宮崎容疑者は夫の仕事で便宜を受けたいから接待している」と認識していたと認定。収賄容疑の「身分なき共犯」とした。
特捜部は同日、山田洋行をめぐる不正支出事件について、業務上横領罪などで宮崎容疑者らを起訴した。
参院で守屋容疑者の証人喚問が決まった翌日でもあり、法案審議に与える影響も含め「国会軽視の捜査」との批判を浴びる恐れもあった。東京地検の渡辺恵一次席検事は「捜査の結果、逮捕せざるを得なかった。証人喚問を妨害するためではない。国政調査権の重要性は理解しており、法令の範囲で協力する」とコメントした。
守屋前次官の逮捕に、政府・与党には動揺が広がった。
福田康夫首相は同日夜、首相官邸で記者団に「防衛が国民の信頼を失ってしまうことは、極めて遺憾というか、残念なことだ。こういうことがあってはならん」と述べた。そのうえで新テロ法案について「そこのところは割り切って、法案審議をきちんとやっていただきたい」と強調した。
守屋、宮崎元伸両容疑者との宴席に同席したと民主党から追及されている額賀福志郎財務相は同日夕、財務省内で記者団に「(守屋容疑者は)一緒に仕事をしてきただけに誠に残念だ。司直の手で事実関係が明らかになることを願っている」と語った。
民主党の鳩山氏は「防衛省は『政官業』の癒着でスキャンダルまみれ」と批判。輿石東参院議員会長は記者団に「防衛省の組織的、構造的問題だ」と述べ、国会審議で政府を追及する考えを表明した。
額賀氏の昨年12月4日のアリバイめぐり混迷
額賀福志郎財務相が守屋武昌前防衛事務次官らとの宴席に同席したとされる疑惑をめぐり、参院財政金融委員会=峰崎直樹委員長(民主)=は27日夜、12月3日午後に額賀、守屋両氏の証人喚問を行うことを自民、公明両党が欠席する中、可決した。自民党の鈴木政二参院国対委員長は「証人喚問は認められない」と述べ、喚問欠席の方針を明らかにした。
これに先立ち、自民党の大島理森国対委員長は記者会見し「額賀氏が宴席に列席したことはあり得ない」との調査結果を発表、額賀氏が出席した別の勉強会の議事録や家族らとの会合の写真を公開した。自民党の調査では、民主党が宴席の同席があったと追及する昨年12月4日、額賀氏は午後6時から東京・銀座のホテルで家族や友人と食事をし、午後8時すぎから約1時間半、日米平和・文化交流協会事務所で防衛関係の勉強会に出た。
一方、都内の料亭「濱田家」での宴席は午後6時半に始まり、守屋氏やジェームス・アワー元米国防総省日本部長ら8人が出席したが、アワー氏の証言などから額賀氏は出席していないと説明。大島氏は、「額賀氏は家族と食事後、濱田家に寄る時間的ゆとりはなかった」とした。
一方、民主党の山岡賢次国対委員長らが記者会見し、宴席同席の情報源は守屋氏だと公表。山岡氏は「アリバイは作れる。(自民党調査に)信憑性はない」と批判した。