
vol.336
星野ジャパンが北京五輪出場権獲得
手に汗握る「日本野球」がアジアを制した。
北京五輪予選を兼ねた野球のアジア選手権は3日、台中の洲際野球場で決勝リーグを行い、日本は10−2で台湾を下し、3戦全勝で五輪出場権を獲得した。
歓喜に沸くナインに促され、星野監督が照れくさそうに宙を舞った。「正直、ほっとしている。韓国戦は逃げ出したかったけど、今日は(打者が)よくつないでくれた」。試合直後は目を潤ませ、インタビューでは何度も言葉に詰まった。
「この一戦にかけていた」という前日の韓国戦を1点差で制し、この日は大量点での勝利。スコアだけみれば“快勝”だが、6回裏までは1−2でリードを許す苦しい展開だった。流れが変わったのは直後の7回。無死満塁のチャンスでサブローに回ってきた重要な場面で、目指す攻撃の形が出た。指揮官は「カウント1−2になってひらめいた」と、サブローにスクイズを指示。ミーティングで1点の重さを確認しあってきただけに、サブローは「頭の隅っこにあった。スムーズに入れた」と代表の命運を左右するスクイズを見事に決めた。
その後はせきを切ったような集中打。川崎、新井、阿部が中堅から逆方向への適時打を放った。「後ろへつなぐことだけ」と阿部。宮崎での強化合宿からコーチに指示されるわけでもなく、選手たちは自主的に逆方向への打撃を意識してきた。
「死球でも何でもいいから食らいついていこうという気持ちだった。戦う集団になれたと思う」と4番新井。「これは作戦ではない。選手が日本の野球を学んできた成果だ」と闘将は胸を張った。
最高の形で五輪出場権を獲得した星野ジャパンだが、「また、いばらの道が始まるな」と星野監督はつぶやいた。目標はあくまで北京五輪での金メダル。五輪本番ではキューバや米国など強豪が立ちはだかり、金メダルへの道は平坦ではない。
チーム編成もさらに重要になる。北京では選手選考における12球団の人数制限はないものの、今大会では中日、ロッテから各5人が選ばれており、シーズン中でも各球団が“偏り”を了承することがチーム編成を円滑に進めるための絶対条件になる。
「今回の選手に優先権はある」と帰国会見で語った監督。今後は悲願の金メダル獲得へ向け、激闘を制した24人だけでなく、球界全体が日の丸のもとに一致団結できるかどうかも焦点になりそうだ。