
vol.337
舛添厚労相と町村官房長官開き直る
年金統合3月までは無理!!
社会保険庁は10日、基礎年金番号に未統合で宙に浮いた年金記録約5000万件のうち、18.5%にあたる約945万件が、手書き台帳と照合したとしても統合が難しい記録であるとの調査結果をまとめた。
大半は、手書き台帳からオンラインシステムに移行する際の社保庁職員の入力ミスや、加入者が就職採用条件をクリアするために年齢を虚偽申請したケースとみられる。外国に移住した人や、日本で一時的に働いていた外国人の記録も含まれるという。
入力ミスや年金加入時に生年月日、氏名を虚偽申請した記録については、本人が名乗り出ない限り手がかりすらつかめないことが想定されるという。このため、社保庁は「最終的に特定できないものが相当数残る」(幹部)とみている。ただ、平成9年の基礎年金導入以前は1人で複数の年金番号を持っていたため人数を特定するのは困難だ。
1975万件には、すでに亡くなった人のものとみられる記録や、婚姻で氏名が変わった人の記録も含まれていた。これらは自治体公報などを通じて申し出を呼びかける。オンライン化の際に氏名の漢字を変換するソフトが誤入力していたケースについては、照合プログラムの一致条件を緩和して調べ直す。
一方、氏名、生年月日、性別の3条件がオンライン記録と一致し、有力な手がかりが見つかったのは1100万件(850万人分)。これらについては17日から順次「ねんきん特別便」を発送し、確認を呼びかける。
舛添要一厚生労働相と町村信孝官房長官は11日、それぞれ記者会見で、「消えた年金」記録の基礎年金番号への統合に関する自民党公約などが実現不可能だと開き直った。安倍晋三前首相や福田康夫首相の年金問題解決に関する発言や自民党の参院選での主張にも反するだけに、野党各党は一斉に猛反発した。
年金記録の統合は(1)オンラインシステム上のデータを照合する(2)照合に基づき、未統合記録を4月以降も基礎年金番号に突き合わせる−という作業があり、この2つが完了してはじめて「消えた年金」問題が解決する。町村氏は記者会見で、この2つを簡略的に、「選挙ですから『年度内にすべて』と縮めて言った」と釈明した。さらに、舛添氏は、「3月が終わればすべて年金問題がバラ色の解決ができているという誤解があった。『3月末までに全部片付ける』と言った覚えはない」と言い放った。
特定が困難な記録が大量に発生することについては、政府・与党内では当初から予測されていた。年金記録の原本である手書き台帳の不備が多数指摘されていたためだ。このため、すべて統合できるかのような参院選での自民党の主張には、将来的に公約違反になりかねないと心配する声もあった。その懸念がまさに的中した形となった。参院選時の自民党の主張は、選挙勝利のために国民に誤解を与えることを承知の上での確信犯的な言動とも言える。
これに対して 野党各党は「あまりに言葉が軽すぎる」と反発、舛添氏の問責決議案提出も視野に政府・与党を追及する構えだ。
民主党の小沢一郎代表は会見で「公約違反で、政府の責任は非常に大きい」と福田内閣を批判。さらに町村発言を「国民を冒涜する、責任回避の言いぐさだ」と非難した。福島瑞穂社民党党首は「選挙のためならウソをついていいのか。赤福よりも船場吉兆よりも悪い偽装だ」と切って捨てた。
長妻氏の追及にタジタジ
12日の衆院厚労委の審議では、民主党の長妻昭政調会長代理が、年金公約に関する11日と11月21日の舛添氏の記者会見の発言の違いをやり玉にあげた。
長妻氏の「11月21日の記者会見で『公約の最後の1人、最後の1円まで確実にやるということで取り組んでいきたい』と語ったが、実現できるのか」という質問に、舛添氏は「今、その努力をしている過程だ」と話すのが精いっぱい。「最後の1人に至るまで記録をチェックし、正しく年金をお支払いする」(安倍晋三前首相)という公約の実現ができなくなった今、努力する姿勢を強調するしかないためだ。「(公約が)選挙のスローガンだったという発言は取り消し、謝罪を」という長妻氏に、舛添氏は「真意が伝わらなかったことは大変申し訳ない」と低姿勢をみせたものの、発言は撤回せず、「やってみないと分からないので、全力を挙げますということだ」と開き直ってみせた。
民主党の山岡賢次国対委員長は記者団に、「不可能なことを公約して、国民をあざむき続けた。国民への背信行為で(舛添氏には)重大な責任がある。直ちに謝罪して辞職すべきだ」と語った。
福田首相は12日夜、首相官邸で記者団の質問を「大げさ」と一蹴した上で、政府の説明については「どういうふうに言ったのか、私もよく覚えていない」と距離を置いた発言を繰り返した。町村信孝官房長官も同日の記者会見で「5000万件すべての行き先を確定すると説明したものではない」と苦しい反論に終始した。
だが、こうした政府側の姿勢に、与党側は強い懸念をみせている。
自民党の大島理森国対委員長は同日の正副国対委員長会議で「開き直りともとれる説明ではいけない」と、町村、舛添両氏の説明ぶりを問題視。舛添氏には「言い訳するな」と注意する一幕もあった。公明党の北側一雄幹事長も会見で、町村氏の発言に「選挙だからとか縮めたとか、必ずしも適切と思わない」と不快感を示した。