
vol.337
どうした井上!? 3大会連続五輪出場に黄信号
谷亮子(トヨタ自動車)、鈴木桂治(平成管財)ら主力の欠場により、井上康生(綜合警備保障)の復活劇に注目が集まった嘉納杯東京国際柔道(7〜9日、東京体育館)。しかし日本のエースはブラジルで行われた世界選手権に続く不完全燃焼に終わり、北京五輪出場に黄信号がともった。
9日の男子100キロ超級に出場した井上は、決勝戦で井上慧(国士大)と対戦。井上は石井の巧みな揺さぶりで主導権を握られ、残り1分35秒に「指導」を受けて優勢負けを喫した。
「踏み出す勇気がなかった」。こう言って肩を落とす井上だが、宝刀の内またを途中で収める消極的な場面が、その“自滅ぶり”を象徴していた。
100キロ級から最重量級にくら替えした井上には、失ったものがある。自在に足を飛ばし、組み手で相手を振り回す積極性。流れの中で足技、担ぎ技を使い分けた滑らかさも今はない。全柔連の吉村強化委員長は「本来は動く選手。自分のスタイルを忘れている」と手厳しい。
再起戦は北京への序列を決める試験でもあった。「あの『指導』がどれだけ大きいか、認識しとるのか?」と父の明さん。闘志が根腐れしているとすれば、症状は重い。「今後は海外で勝ち、全日本も勝って、五輪に出たい」と意気揚々の石井とは対照的だ。
父は「康生の胸の内が分からない」と嘆き、全日本男子の斉藤監督は「待つしかない」。井上の迷走はまだ続きそうだ。