
vol.339
ブレーク必至! 優しさがこぼれる 注目のユニット
moumoon (ムームーン)
音楽には力がある。一瞬で世界を大きく動かしてしまうことはないかもしれないけれど、耳を傾ける人たちのなかに入り込んで、少しずつ何かをいい方向へと変化させていく。やわらかい音楽で心に染み込む、moumoonもそんな音を奏でるグループの1つ。今年注目すべきニューアーティストである彼らにインタビューした。
出会いは深夜のテレビスポットだった。弾けるビート、セクシーなグルーヴなどなど、15秒ごとに切り替わり、どんどん流れていく。そんななかで、キラキラした曲と心地よく響く "Do you remember?"のフレーズは、なんだか残った。良いとか悪いとかではなく、ただ美しくて、芯があって、記憶に残る――そんな曲。
「曲を作るときはほとんど何も考えてないんですよ。ただ、寒い冬に温かくなるような曲を作りたいと思ったのは覚えてます」。温かくて優しい気持ちになれる曲「Do you remember?」が生まれたきっかけを、柾昊佑(まさき・こうすけ)が、やわらかい笑顔で話す。
「柾くんの曲は景色が見えてくるんです。この曲は、石畳の公園で、木漏れ日が差すような感じで緑がたくさんあって、でも全体の雰囲気はセピアっぽい。背の高い男の子と女の子がいて…手をつないでいて、女の子は花を持ってる。そんな景色が浮かんだときに、恋人の手のぬくもりとか、恋人を思う優しい気持ちだとか、そういったものを忘れないでいられればいいのにって問いかけるものにしたいと思いました。それで“Do you remember?”のフレーズが浮かんだんですけど、人は忘れる生き物だから、“忘れないでいてね”よりももっと強いものにしたくて今の形になりました」(YUKA)
フランス語でやわらかい(mou)+英語で月(moon)=やわらかい月という名前を持つmoumoon(ムームーン)は、ボーカルのYUKAと音作りを担当する柾昊佑によるユニット。響かせたい音楽、鳴らしたい音を求めていた2人が出会い、2004年にスタートした。
「当時は、バンドをやりつつ、曲を作ったりしていました。そのなかに、女性ボーカルを想定したものがあって、何度か挑戦したんですが、うまくいかなかった。YUKAちゃんと会って、自分が求めていた響きがあって。すぐさま結成でしたね」(柾)
「友達と一緒にバンドをやろうなんて言ってたとき、友人から柾くんのデモをもらって、この人だ!って。衝撃をうけましたね。以前から顔見知りで、音楽をやっているのは知っていたけれど、ここまで本格的とは知らなかったので。8歳も年上ですし、おもしろいお兄さんっていう印象しかなかったんです(笑)」(YUKA)
第一印象はともあれ、意気投合した2人がしたことは、どんどん曲を作ること。そうやって自分たちの鳴らしたい音楽を模索してきた。
「ライブをやるっていうよりも、まず作っていこう、と。スタジオの作業が好きなのもあると思いますけど、とりあえず納得いく音を完成させたかったんです」(柾)
背伸びせず“やわらかく”て、優しく包み込む歌詞はYUKAが担当。
「作詞は柾くんと出会ってから始めました。デモがすごく作りこまれていて世界観がしっかりしているので、自然に書くようになりましたね」(YUKA)
「小娘にナメられちゃいけないから(笑)。と、いうのもありますけど、ちゃんと作ったほうが伝わりやすいだろうという意図もありました。ただ、最近は早い段階で相談しながらやってます。そうしたほうが、より強さのある作品ができるようになってきたような気がします。いろいろ実験を繰り返しながら、自分たちの軸となるような曲も絞れてきました」(柾)
現在はフルアルバムを製作中。時々ケンカもしながら、自分たちの鳴らしたい音を求め、探し続けている。
「めちゃくちゃいいもの、ベストと呼べるような作品にしたいです。いろいろなところに行ってライブもしたいですね」(YUKA)
これからどんなふうになっていきたいかと尋ねたら、「空気と同じように流れる音楽を作っていけたらいい」と、答えた。「自分を振り返って見ても音楽として楽しく聞いてきた。もちろん、かっこいいから聞いてくれっていう気持ちもないわけじゃないし、ヘッドフォンで聞いてほしいと思うところもあります。けど、何よりも聞いてくれる人の想い出の1つになれればうれしいですね。香りやにおいから何かを連想するように、僕たちの曲を聞いて"ああ、恋愛してたときの歌だ"とかね」(柾)。ムームーンが紡ぐ、記憶を呼び起こす音楽。これからもっとたくさんの心に染みていく。
(本紙・酒井紫野)