
vol.340
混戦模様の米大統領選予備選始まる
11月の次期米大統領選の候補者を決める予備選のプロセスが、3日夜(日本時間4日午前)のアイオワ州党員集会で幕を開け、民主党では、黒人初の大統領を目指すバラク・オバマ上院議員(46)が緒戦勝利を飾り、本命視されてきたヒラリー・クリントン上院議員(60)は3位に終わった。共和党ではマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(52)が制した。
民主党では、オバマ氏は得票率38%、ジョン・エドワーズ元上院議員(54)は30%、クリントン氏は29%を獲得した。惨敗したバイデン、ドッド両上院議員は戦線離脱を決めた。
共和党では、ハッカビー氏が34%と首位。ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(60)25%。フレッド・トンプソン元上院議員(65)13%、ジョン・マケイン上院議員(71)13%と続いた。全米支持率でトップのルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長(63)は同州での戦いを捨て、4%と低迷した。
オバマ氏は若者をはじめ、過去、集会に参加してこなかった層、ハッカビー氏はキリスト教保守層から支持を受けた。ともに外交・安保分野などでの経験不足を対立候補から批判されたものの、党員たちは「経験」よりも「変革」を重視した。
党員集会の参加者は民主党で約24万人、共和党で約11万人と、いずれも前回より大幅に増えた。
オバマ氏は同日夜、「恐怖よりも希望、分裂より結束を選んだ。変化が米国に訪れるとの強力なメッセージを送った」との勝利演説を行った。
5日には米ワイオミング州で共和党の指名候補争いの第2戦となる党員集会が開かれ、ロムニー氏が勝利を収めた。ニューハンプシャー州を遊説中の同氏は、「これは初めの一歩だ」との声明を発表した。
8日に行われたニューハンプシャー州予備選は民主党のクリントン氏が、事前の世論調査で優勢が伝えられたオバマ氏を小差で破り初の勝利を手にした。混戦の共和党では、イラクへの兵力増派を一貫して支持したマケイン氏が、イラク情勢の好転を追い風にロムニー氏を下した。
この結果、州別の予備選・党員集会は、民主党のオバマ、クリントン両氏、共和党ではマケイン、ロムニー両氏とハッカビー前アーカンソー州知事(52)の3氏が、それぞれ1勝で横並びとなった。
「背水の陣」で勝利を収めたクリントン上院議員は、8日夜の勝利宣言で、「みなさんの大きく明確な声によって、今夜復活を果たせた」と述べ、民主党の指名獲得に向けて踏みとどまったことを印象づけた。
オバマ氏は「接戦だったニューハンプシャー州で勝利をおさめたクリントン上院議員に祝意を表したい」とクリントン氏の勝利を祝福した。
ヒラリー氏が“禁物”の涙
ニューハンプシャー州予備選で勝利を収めたヒラリー・クリントン上院議員だが、予備選前日のニューハンプシャー州ポーツマス市内での支持者との懇談中に涙を見せる一幕もあった。懇談は少数の支持者によるレストランでの内輪の会合。厳しい選挙戦の今後を聞かれて、クリントン氏は「簡単じゃない」と2度つぶやき、「正しいと信じていないとやっていられない」と、涙目で声を詰まらせた。気を取り直して「私はこの国から多くの機会をもらってきた。あとにさがることはできないの」と語り、支持者の励ましを受けた。
過去に予備選段階で涙を浮かべた候補には、1972年の大統領選で民主党の指名候補争いに敗れたマスキー上院議員と、88年の同党の指名候補レースを撤退したシュローダー元下院議員がいる。