倖田來未の勢いが止まらない。数々のヒット曲を世の中に送り出し、強力なファンベースを獲得。そしてまた、パーフェクトな楽曲がつまった最新アルバムが届いた。タイトルはずばり『Kingdom』。ジャケットは、王冠を被り、王座に座っている倖田の姿だ。プリンセスでもクイーンでもなく、キングというワードを選んだのは「男性にも負けない女性の力強さを伝えたい」という理由から。そのキングが、音楽でキングダム=王国を建国した。 「このアルバムを手にしてくれる人はみんな、私のファミリーであって仲間。"私の王国へようこそ"じゃないけれど、来てくれた人には堂々と倖田來未を表現できるし、いろんなことをプレゼントしたいと思っています。ただ、特に私が王様っていうことではなく、自分の大切な人たちに、安心して好きなように楽しんでもらえたら、と思って、このタイトルをつけました」 全国からファンが詰め掛けた昨年12月の東京ドーム公演で、本作のリリースが発表された。前作『Black Cherry』のツアーのファイナルで、ステージングもパフォーマンスもサプライズが山盛りの豪華なライブ。ステージ上の倖田は、開演から終演までずっと熱い視線と声援を、最高の笑顔で受け止め続けた。 「これまで少しずついろんなことをやって積み上げてきました。そのご褒美じゃないですけど、東京ドームでライブまでやらせていただいて……。最初は、ほとんどの会社の人もできるって信じてくれなかったんですよ。でも、スタッフと一緒に、できるはずだって信じてやってきて、最終的にはたくさんの人がきてくれました。本当にうれしかったですね」 デビューしてからずっと、倖田は愛を歌い続けてきた。恋したときのドキドキ、セクシーな関係、挑発的な楽曲……、とにかくいろいろな曲を通じてさまざまな愛のカタチを表現してきた。全力で送り続けてきた音楽やそのメッセージは、今では多くの人を虜にしている。そして今、彼女が伝えようとするのが、「与える愛」。 「これまではギブ&テイクの愛というか、自分がこれだけしているんだからこうしてほしいっていう恋愛をしてきたと思うんです。例えば、電話やメールしているのになんで返してくれないの?とか、仕事が忙しいかもしれないけど、ちょっとだけトイレにいったふりしてメールしてよ!っていう(笑)。私も25歳になって、愛は求めるものじゃなく、与えるものだって気づいたんです。このアルバムを聞いてくれた人が1人でも多く同じように感じてくれて、愛を与えることを考えてくれたとしたら、結果として自然に愛の交換をすることになると思うんですよ。そういったことを、音楽を通じて伝えていければいいなって思いますね」 熱っぽく語る彼女からは、アーティストでありつつも観客を楽しませるエンターテインナーであることを純粋に望んできた倖田來未から、ワンステップ進んで、メッセージを伝えるシンガーでありたいという意志が見える。 「この“与える愛”というテーマに関してもいえることですけど、昨年の『愛のうた』は、大きな変化を与えてくれたんです。この曲は、自分のことではないストーリーを描いたもので、私にもこうした歌詞の書き方もできるって分かりましたし、曲に関しても、ビートが効いた“アーティスティックな倖田來未”や「恋のつぼみ」のような彼女自身がありのままに出ている“くぅちゃん”的な楽曲の中間のポップスっていうところへと、興味があるんです」 『FREAKY』や『甘い罠』といった海外テイストのアグレッシブな楽曲を収録しながらも、ずっと温めてきたというシングル「anytime」のようにシンプルで優しい曲もある。全体を通して聞くと、ビートよりもメロディーの美しさがいつまでも残る。そのためだろうか。倖田のボーカルもよりエモーショナルで、カラフル、さらに包容力を感じる。これが彼女のいう変化であり、倖田來未が音楽で作り出す理想の“王国”ということなのだろう。 最後に2008年の目標をたずねると、「エレガント」だという。アーティストとしても、1人の女性としても円熟味を増してきた彼女が放つこの豊かなアルバム『Kingdom』には、25歳の1人の女性の姿と、より多くの人に音楽を、そして愛を届けたいというアーティスト・倖田來未の自信と感じる。倖田王国はさらに大きくなっていく。