
vol.343
プロレス復興のキーマンを直撃!
武藤敬司
「明るく・楽しく・激しく・新しい」戦いを繰り広げている全日本プロレスが、「プロレス」の枠を超えた求心力を生み出しつつある。最近ではものまね芸人とコラボレーションした試合を行うなど、斬新な試みが多方面からの評価を集めているのだ。そんな全日本を率いているのはそう、ファンを魅了し続ける天才・武藤敬司。今回はプロレス復興のカギを握る、骨の髄まで「プロレスLOVE」な武藤社長を直撃。全日本マット、そしてプロレスの魅力を語っていただきました。
「俺はプロレスの潜在能力を信じている」
――2月29日に昨年の全日本プロレスをプレイバックしたDVDがリリースされますが、武藤社長にとっての2007年はどんな1年でしたか?
「個人的にも密な1年でしたね。チャンピオンカーニバルで優勝することができて、その後は三冠ヘビー級選手権試合(7月1日、鈴木みのる戦)をやって負けたけれども、『試合は良かった』という評価をいただいた。そして年末には最強タッグという30年続いている大会でも優勝できた。その時その時は『点』で一生懸命やっていたけれど、こうして『線』で分かりやすく見ることができるのは、まさにDVDの長所ですよね」
――こうして「線」で振り返ると、今後の展開もより楽しみになりますね。
「今年はさらに頑張りますよ。スペインからオファーが来ているし、3月には両国でビッグマッチがあって、4月にはチャンピオンカーニバルもある。あとはブードゥー・マーダーズ(全日本のヒール軍団)もそろそろ飽きたから、解体に乗り出そうかと思っていますよ。そして全日本としては、まだ言えないけれど考えている企画があるし、メキシコに行っていた若手が戻って来ることも楽しみですね。若い選手にはとにかく激しい戦いをして、新たなファンを開拓してもらいたい。今の全日本は、新たなジェネレーションの認知が足りないことが課題なんです。もちろん、こちら側の“ハード”のほうからも『コイツ気に入った、スターにしよう』ということができるようにしなきゃいけないから、そんな強い団体になることも目標になりますね」
――若い世代のプロレスラーにはどんな印象を持っていますか?
「分からない部分はあるけれど、日本のプロレスラーは“普通の人”になってきている気がしますね。馬場さんや猪木さん、長州さん、鶴田さんといった人たちは、とにかくデカいし存在感があった。みなさま方とは違って、やっぱり異質な人間なんですよ。もちろんレスリングの技術は発展しているんだけど、『プロレスがうまい』なんて本当はどうでもいいこと。寿司屋が寿司握るのと一緒なんですよ。下衆な言い方をしちゃうと、プロレスって見世物なんだから、普通の人が真面目にやるだけじゃしようがない。俺らは異空間を見せなきゃいけないんですよ。幸いにして三銃士(闘魂三銃士=武藤敬司、蝶野正洋、故・橋本真也氏)はみんなデタラメな人間でね。橋本なんて普通じゃない、それはもうデタラメなヤツだったし、蝶野だってそう。ボンボンなのに暴走族やってたんだから。でも、そういう普通じゃない部分がプロレスのパフォーマンスでは生きてくるっていうのは思いますよね」
――プロレス人気が再燃しつつある機運もありますが、実際のところ「風」のようなものは感じていますか?
「そう簡単にチャンスは来ないと思っていますよ。でもプロレスには潜在能力がある。大手のスポンサーというバックがいない状態で、民放テレビもなくなって久しい。そんな中でもプロレスはここまで生きてこられている。そういう意味でも、俺はプロレスの持つ潜在能力を信じていますよ」
――プロレスに自信があるからこそ、新しいことにも挑戦できる?
「受けの姿勢で何かが来るのを待っていてもしようがないわけですよ。だからお笑いとコラボしたり、2月15日にはプレイボーイチャンネルと提携した興行をやったりもする。こういうことは全日本でしかできないという自負はありますよ。普段から激しい試合をしているというベースがあるし、新日本みたいに優柔不断でもない(笑)。本当に、毎日いろんなアイデアを考えるのが面白くてしようがないですよ」
――選手として戦い続けられる理由もそのあたりにありそうですね。
「それに『妹が大きな病にかかっていて、手術が成功する確率が2分の1なんです。お守り代わりにサインをください』なんていうファンレターが来ると、俺はプロレスを通じて彼女に夢を与えているんだ、本当にプロレスラーでよかったなって実感します。そういうファンの人が支えてくれるから俺も一線でいなきゃいけないと思うし、頑張る姿を見せたくなるんですよ」
――最後になりますが、武藤社長が考えるプロレスの魅力とは?
「例えば試合を見て、同じ“作品”なのに批判する人もいれば評価する人もいて、意見が真っ二つに分かれる。そういうところが面白かったり、プロレスは絶対に同じ試合が生まれないところも面白かったりする。プロレスの魅力はひと口で言い切れるもんじゃないですよ。プロレスの面白さを感じるには、やっぱりライブを見てもらって、五感で味わってもらわないといけない。この空間ではリングの外で試合するヤツもいるし、汗は飛んでくるし、ニオイもする。五感全部に伝わってくるんですよ。ライブでプロレスを見たことがない人は、毛嫌いしないでぜひ一度足を運んでいただきたい。それでもし楽しめたら、今度は友達を誘ってください。本当に、今年の全日本は面白いよ。メチャクチャに攻めるから」
「『F-1』はプロレスの“応用編”」
――ものまね芸人とコラボレーションした「F-1」をフィーチャーしたDVDも2月29日にリリースされます。この企画が実現した経緯は?
「テレビで神奈月がものまねをしているところに“本人登場”みたいな形でゲストに呼ばれて、そこで彼の存在を知ったのがそもそもの始まりですね。その時、『コイツ、ちょっといじってやろうかな』っていう気持ちがフツフツと沸いていたんでしょうね。直接のきっかけになったのは、『東京ドームを埋めるんなら、長州力&長州小力組と俺&神奈月組だろ』っていう何気ないマスコミとの会話ですね。その時は言葉のアヤで出たんだけど、その後『意外といけるかもしれない』と思って実行したんですよ。始めた当時は『またふざけやがって』っていう非難もきっとあったと思うけど、俺はやるって決めたら聞く耳は持たない。失敗してもいろんなことに挑戦するのはポリシーだと思ってますから」
――芸人さんとプロレスをすることに難しさはありませんでしたか?
「芸人ってプロレス好きな人が多いから、良い意味でリングに上がることに緊張してくれるし、試合を楽しんでくれていますよ。ただ、反響があるからといってこれに依存したらダメだと思う。普段俺たちは激しい試合というベースがあるから、『F-1』のような“応用編”ができるんですよ。今年も6月10日の『武藤祭り』でタイトルマッチがあると思うし、ぜひお笑いファンの人にも見に来てもらいたいですね。イベントにはちゃんとしたプロレスの試合も入ってるから、ライブで見て『プロレスの空間って面白いんだ』ということを感じてもらえればうれしいですよ」
(聞き手/本紙・小池龍之)
 「全日本プロレス コンプリートファイル2007 DVD BOX」
1万290円(税込)
「ものまねプロレス軍団vs全日本プロレス F-1タッグチャンピオンベルト争奪史」
3990円(税込)販売元:ポニーキャニオン 2月29日(金)発売
全日本プロレスEVENT INFORMATION
夏目ナナプロデュース「PLAYBOY CHANNEL NIGHT 2008」
【日時】2月15日(金)19時開始【会場】新宿FACE ※R-20指定
「2008 エキサイトシリーズ〜ドリー・ファンク・ジュニアさよならシリーズ〜」
【日時】2月17日(日)12時開始【会場】後楽園ホール
ドリー引退試合&三冠ヘビー級選手権開催「2008 プロレスLOVE in 両国 Vol.4」
【日時】3月1日(土)17時開始【会場】両国国技館
【問い合わせ】全日本プロレス 03-3288-0610【HP】http://www.all-japan.co.jp/
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