今週のTOKYO HEADLINE
vol.344
(2008.02/11-02/17)
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INTERVIEW vol.344

SymmetrySが企んでいること。

「世間のあらゆるものをありかなしか審判するんです」(小林)
「お互い任せ合える気軽な感じがとても心地いい」(田中)

 お笑いとも演劇ともつかない独特なコントで、エッジの立った若い世代から絶大な支持を得ているラーメンズの小林賢太郎。ダンスミュージックに自身のルーツを散りばめた独自の音楽スタイルで、DJ、プロデューサーとして海外からも高く評価されている、Fantastic Plastic Machineこと田中知之。このふたりが「SymmetryS」なるユニットを組み、何やら企んでいるようだ。

「世間のあらゆるものをありかなしか審判するんです」

「SymmetryS」では「コント係」を担当する小林からこんな言葉が飛び出した。確かに、2月13日に発売となるアルバム『SymmetryS』のジャケットには、両手に日の丸を持った審判めいた人がデザインされている。音楽で、審判するとは一体──?

 ふたりの出会いは、ラーメンズのファンだった田中が、公演後の楽屋を訪ねたことから。同じくFPMのファンだった小林は、突然の来訪に驚いた。

「ラーメンズのDVDを見たときに、“この人たちに自分の曲をリミックスしてほしい”と思ったんです。で、公演を見に行かせていただいて“仲良くなってほしいんです”とCDをお渡ししました」(田中)

 そして、ふたりはすぐに「飲み仲間」に。お互いに作品のファン同士なだけに、必然と「一緒に何かをやりたい」という話になっていったという。

「何か一緒にやろうという話をしていても、“それが何なのか?”ということは、いつも思いついてはうやむやになり。でも今回はいいタイミングだと思って、なまじ強引に押し進めました」(小林)

 以前田中は、小林が手がけた舞台「GOLDEN BALLS LIVE」の音楽を担当したことはあったが、ふたりの世界観をガチンコで組み合わせて創作したのは、今回が初めて。刺激的で楽しい時間だったというレコーディングを経て生み出されたアルバム『SymmetryS』は、全15曲でひとつの「組曲」のような、コントと音楽のバランスが絶妙なオルタナティブな作品に仕上がった。今まで聞いたことのない新しいジャンル、「ヘッドフォン・オペラ」の誕生だ。

「ヘッドフォンで楽しむことが必ずしも前提ではないんですけど、ただすごい象徴的になるかなと」(田中)

「断然スピーカーで聞くよりヘッドホンで聞くほうがおもしろいと思います。鼻息ひとつがすごく大事だったりするので、一文字も聞き逃してほしくない。劇場で例えれば、一番見やすい席を用意しているという感じです」(小林)

 1曲目は、「SymmetryS」の「音楽係」である田中が、ニューヨークのアート雑誌『VISIONAIRE』のために書き下ろした楽曲「Sex」のロングバージョン。

「いきなりシンメトリーズのアルバムが、『Sex』というタイトルの曲で始まるのがすごくいいなと思って、小林くんに相談したら、いきなり突き放す感じが非常に効果的ではないかと賛同してくれたので、1曲目はこの曲にしました」(田中)

 そして、3分間にぎっしりと世界記録をつめこんだ「Record of Records」と続き、「はい」「うん」「おーい」「なに」という4つの言葉だけで構成された「ミニマムテレフォン」、田中がユニクロの時計のために作った曲が、ものすごくシンメトリーズ的なディレクションだということでインタールードとして取り入れられた「Hones and Clock」など、実にバラエティー豊かな全15曲が収められている。

「田中さんとは好きなものが似ていると僕は思ってるんです。だから、“これはシンメトリーズ的”というジャッジもしやすい」(小林)

「聴覚的にも、視覚的にも、感覚的にも似ているところはあると思います。そういった感覚が一緒の人って意外と見つけにくいんですよね。今回は、お互い任せ合える気軽な感じがとても心地いい」(田中)

 つまり、「SymmetryS」のコンセプトは「ふたりがやりたいこと」。ふたりの基準で、「あり」か「なし」かをジャッジしていけば、「シンメトリーズ的」なことがおのずと浮かび上がる。まずは今回、「ヘッドフォンオペラ」という手法を生み出した。インタビュー中も、ふたりの発想は留まるところを知らない。

「いろいろな仕組みを考えたので、次は応用編ですね。このインタビュー中にもアイデアをふたつほど思いつきました。僕は、SymmetrySがどこかに連れていってくれそうな気がするんです。想像もしてなかったことを自分でこれから作るんだろうなというか、すごく楽しいことが始まった気がしています」(小林)

 思う存分楽しんで作ったことが音からも分かるアルバム『SymmetryS』は、大人の男であるからこそできた、最高の「遊び」なのだろう。だが、それぞれのフィールドで第一線で活躍してきたふたりが作ったものだから、クオリティーは折り紙付きだ。言葉の意味だけに頼らないポップな響きとサウンドで、可能性は世界へも広がりそうな「SymmetryS」。要チェックだ。




(石本真樹)

アルバム『SymmetryS』
avex trax 2月13日(水)発売 3000円(税込)
初回限定豪華特殊仕様


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