
vol.346
Major Debut 5th Anniversary
SOFFetが提示するニュースタンダード
ジャズやロックといったジャンルとラップが出会った音楽を送り出しているSOFFet(ソッフェ)。彼らの音は、ラップミュージックは若い世代が楽しむものと思い込んでいるラップアレルギーの体にもスッと入り込んでくる。「より広く、ポップスとして昇華させたい」と、新風を吹き込んでいる彼らにインタビューした。
より多くの人のもとへ
−−目指すのはポップス
作詞・作曲、そしてサウンドプロデュースを手がけるYoYo(ヨーヨー)と作詞をするGooF(グーフ)の2MCからなるSOFFetのスタートは、今から13年前に遡る。小学校6年の時から友達だった2人は15歳の時にグループを結成。それからずっと一緒に音楽に向かい合ってきた。
ジャズやロックなどさまざまなジャンルのなかをスイスイと泳ぎ、肩の力が抜けた心地よいラップ。ライブになれば、自ら楽器を手にして演奏しながらラップする。そんな彼らの手法は、スウィング・ラップと呼ばれ愛されている。「最近、よく言われるんです。他のラップはダメだけど、SOFFetだけは聞ける、って」(YoYo)
メジャーデビューしてから今年で5周年になった。この27日、それを記念したアルバム『NEW STANDARD』を発表する。直訳すれば、新標準、新定番の意。自信作とはいえ、たいそうなタイトルだ。
「須永辰雄さんとの『NEW STANDARD』という曲からとったものなんですけど、僕らのなかでは、“スタンダード”っていう言葉をいつかアルバムのタイトルにしたいねって話していたんですよ」(GooF)
「ジャズのスタンダードってあるじゃないですか。大昔の人が作った作品なのに、今日もどこかでプレーされている。時代を越えて残っていく音楽ですよ。自分たちの音楽もそういうものになっていけばいいなと思っているんです」(YoYo)
「豪華なメンツが揃っていろんな曲がある」という本作には、MONGOL800、SEAMO、HOME MADE家族のKURO、Sunaga t experienceことカリスマDJの須永辰緒らが参加している。
「節目なので、普段なかなかできないことをやろうって話になって、この5年間で出会った人たちと一緒に何かを残すというか、協力してもらって豪華に飾ってもらえたらと、たくさんコラボレーションを収録する流れになったんですよ」(YoYo)
こだわりをもって最高のサウンドを追求しているアーティストたちとの共同作業から、多くのことを学び、可能性を広げた。
「MONGOL800との作業は、バンドですし、これまでに自分たちがやってきたアプローチとは違っていて新鮮でした。彼らの持ち味を最大限に生かしたかったこともあって、スタジオに入って、積み重ねながら曲を作っていく感じがすごく生っぽくて。いい経験になりました」(GooF)
「僕が感じたのは、当たり前のことなんですけど、人それぞれ個性があること。レコーディングをしていても、どこでOKテイクを出すかっていうような感覚も違うんですよね。そういうのを目の当たりにするたびに、“そういう考え方もあるんだ”って思いました。自分たちのやり方がダメだったとかそういうんじゃなくて、新しい見方に気づかされて、すごい前向きにいろんなことが見えてきたんですよ。小さなことも大きなこともこの作品で経験したことすべてによって、これから自分たちが作る音楽はさらに良くなっていくんじゃないかなって気がしています」(YoYo)
アルバム『NEW STANDARD』は、SOFFetにとって、新しいチャプターへの扉になった。これから彼らが目指すもの、それはポップスだという。
「やりたいのは世代問わず届く音楽、なんですよね。始めた当初は、今よりもHIPHOPに近いところをやっていたので、“若者の音楽。意味分からない”って自分の親にも聞いてもらえなかったんですよ。そういうなかで、どうしたらこのおもしろさを伝えることができるのかって考えながら、“ラップと歌を使って表現する音楽”という感覚でずっとやってきて、今、ようやく見えてきたというか。この間ライブをしたときに、70歳越えぐらいのおじいさんがファンですって言ってきてくれて……。より届く音楽、ポップスを目指していきたいな、と思います」(YoYo)
「スタイルを突き詰めてスウィング・ラップに行き着いて、自分たちの追求してきたオリジナルなスタイルは確立できたと思います。だからこそ、本当の意味でのポップスに目を向けられるようになってきて、今はこの音楽をより広く、ポップスとして昇華させるために試行錯誤していくんだと思いますよ」(GooF)
何かを成し遂げたり、何かを自分のものとして身につけるためには、最低10年が必要だと誰かが言った。SOFFetによる、理想の音楽の追求はこれからも続く。
(本紙・酒井紫野)