
vol.347
27年の時を経て「ロス疑惑」の三浦容疑者サイパンで逮捕
1981年にロサンゼルスで起きた銃撃事件をめぐる「ロス疑惑」で、ロサンゼルス市警は23日、妻の一美さん=当時(28)=を殺害した殺人罪などで、日本で同じ殺人罪に問われ、その後に無罪が確定した神奈川県平塚市の会社役員、三浦和義容疑者(60)を滞在先の米自治領サイパン島で逮捕したと発表した。カリフォルニア州に殺人罪の時効はなく、同市警の未解決事件担当班が極秘裏に捜査を再開していた。
「疑惑の銃弾」から27年を経て、事件の舞台は再び米国に移る異例の展開となった。
同市警によると、三浦容疑者は81年11月18日、一美さんがロサンゼルス市内で銃撃され、約1年後に意識を回復しないまま死亡した事件について、殺人および共同謀議の疑いがもたれている。市警は具体的な共謀者の名前など容疑事実の詳細については明らかにしていないが、捜査再開で新たな証拠を入手し、逮捕状を請求したという。
同市警によると、三浦容疑者は22日、滞在先のサイパン島の空港で逮捕された。三浦容疑者がサイパンに入るとの情報を得て、グアムとサイパンの捜査当局者と協力をしていたという。
三浦容疑者は一連のロス疑惑事件で日本で殺人罪に問われ、1審東京地裁で無期懲役の有罪判決が下されたが、2審で逆転無罪となり、2003年に最高裁で無罪が確定していた。
27日には三浦容疑者に対して執行された1988年5月発行の逮捕状は、共謀罪について20項目の「外的行為」を挙げた上で、共謀相手を、一美さんに対する「殴打事件」で日本で殺人未遂罪の有罪が確定した元女優としていることが、ロス地検の移送関係文書から分かった。
逮捕状によると、殺人容疑については「一美さん殺害は故意に、かつ金銭を目的に三浦容疑者が手伝い、そそのかす形で実行された」と述べるにとどまっている。
一方、共謀容疑については、謀議をめぐらした期間を、一美さんが銃撃された日の前後にまたがる81年7月から82年7月までの1年間と指摘。その上で、「外的行為」として、三浦容疑者と元女優が保険金目的での一美さん殺害についてさまざまな殺害方法を議論したことや、三浦容疑者が一美さんに海外旅行保険をかけ、最終的に保険金を受け取ったことなどを20項目に分けて列挙している。
この20項目の「外的行為」は、日本では別の事件として扱われた、元女優によるロス市内のホテルでの一美さん殴打事件と、その3カ月後に起きた銃撃事件とが、一連の事件として扱われているのが特徴。
三浦容疑者の元弁護人が新証拠「あるのか疑問」
三浦和義容疑者の元弁護人が25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「(ロサンゼルス市警側に)新証拠が本当にあるのか疑問」と述べ、三浦容疑者も新証拠について「そんなものあるはずがない。何ですか」と話していることを明らかにした。
会見したのは、弘中惇一郎弁護士と喜田村洋一弁護士。三浦容疑者から「不当逮捕だということを訴えてほしい」と要望を受け、会見を開いた。
弘中弁護士は「日本の最高裁で無罪が確定している。今さら蒸し返すことはできないのではないか。一事不再理は世界の一定の人権が認められた国の共通ルール」と強調。その上で「米当局から捜査共助の要請が来ても毅然とした態度を取ってもらいたい」と、法務省や警察庁に米側への捜査協力の拒否を要請する意向を表明した。
FBI(米連邦捜査局)が警察庁に伝えた「新証拠」も「あるのか疑問。あるとしたら、日本の裁判で争われた情況証拠程度のものということはあり得ないが、見当が付かない」と話した。