
vol.349
混迷する新銀行東京 破綻か追加出資か
多額の累積赤字を抱えている新銀行東京の津島隆一代表執行役らが10日、都庁で会見し、不良債権増加は旧経営陣でトップだった仁司泰正元代表執行役による「独善的な業務運営」が原因とする調査報告書を公表した。4月に調査機関を発足させ、仁司元代表への損害賠償請求を含め、刑事、民事両面で責任追及する方針も示した。
津島代表執行役は会見冒頭、都に400億円の追加出資を求めたことについて、「都民の皆さまに深くおわびします」と頭を下げた。深刻な状況を招いた旧経営陣については「仁司元代表の責任が重い」と指摘。その上で「銀行のすべての決裁は代表執行役が実質的に関与できた」と説明した。
内部調査では、開業初年度の平成17年度末に、旧経営陣がデフォルト(債務不履行)の異常発生を把握しながら対策が後手に回ったことを問題視。「18年度に融資した案件から生じた損害は経営判断の責任が大きい」と指摘。融資拡大路線を継続させたことについて、仁司元代表は調査に対し、「融資残高を増やしていけばデフォルトをカバーできると考えた」と釈明したという。
都の400億円追加出資の可否を審議する都議会予算特別委員会が11日開かれ、都は新銀行の今年3月末の累積赤字が、1016億円になる見通しを明らかにした。
委員会で都は、追加出資がなければ、平成20年度末には自己資本比率が経営健全性を示す国内基準の4%を割り込み、金融庁から早期是正措置が発動されると説明。銀行設立を主導した石原慎太郎知事は「伏してでも都議会、都民の皆さまのご協力をお願いしたい」と理解を求めた。
新銀行は昨夏以降、外資系の金融機関も含め統合などを模索した。しかし、いずれも不調に終わり、(1)追加出資(2)事業清算(3)預金保険法に基づく破綻処理−しか選択肢はないと判断した。
都は400億円の内訳を、自己資本の維持に80億円▽リスク対応に280億円▽新規業務や風評などの備えで40億円−と説明。都が追加出資した場合、20年度末の自己資本比率は49%となる。また、新銀行が融資している1万3000社のうち、19年12月末で5635社の赤字や債務超過企業だったことも判明した。