
vol.350
各地で五輪ボイコットの動きも
中国西部チベット自治区ラサから中国各地に飛び火している僧侶らによる大規模騒乱の北京五輪への影響が出始めている。フランスのクシュネル外相は18日、騒乱が続けば、欧州連合(EU)は北京五輪開会式への不参加を検討すべきだとしたほか、台湾の最大野党、中国国民党の馬英九・次期総裁候補も当選後、五輪ボイコットを排除しないとの声明を発表した。国際オリンピック委員会(IOC)本部のあるスイス・ローザンヌでは同日、スイスのチベット人らのデモ行進が行われ、「ロゲ(IOC会長)さん、あなたの沈黙がチベット人を死なせる」と書いた横断幕を掲げ、中国に圧力をかけるようせまった。
また、フランス通信(AFP)は、IOCのトーマス・バッハ副会長が、ドイツの週刊紙「ビルト日曜版」に対し、「何人ものスター選手は五輪のことを考えたときに不安を覚えている。中には棄権することを考えている選手もいる」と明かしたことを伝えた。
五輪馬術の個人・団体で計4個の金メダルを獲得しているルドガー・ビアバウム(ドイツ)は、ビルト日曜版紙上で「この状況下で中国で競技ができるのかどうか考えてきた」と告白。選手同士で北京五輪のボイコット問題について話し合っていることを明かした。
17日付のイタリア紙レプブリカに掲載された世論調査では、回答者の96.1%が、北京五輪ボイコットを支持。複数の欧州メディアは、明確にボイコットを主張し始めている。
ロイター通信によると、ハリウッド俳優で「チベットのための国際キャンペーン」の会長を務めているリチャード・ギア氏は、個人的な見解として、中国がチベットの混乱を平和的に収拾できなければ、オリンピック参加は「良心に反する」と述べた。
ただ、ダライ・ラマ14世は16日に亡命先のインド北部ダラムサラで行われた会見で、中国当局の武力行使を強く非難しながらも、「中国は五輪のホスト国になる資格はある」と指摘、五輪のボイコットを国際社会に呼び掛けるのでなく、「延期すべきではない」と五輪開催支持の姿勢を示した。
中国の温家宝首相は18日の記者会見で「北京五輪破壊を狙ったものだ。北京五輪を政治化することはできない」と述べ、「五輪の政治化」を許さない姿勢を強調した。