今週のTOKYO HEADLINE
vol.351
(2008.03/31-04/06)
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撮影:加藤大毅
INTERVIEW vol.351

4・2 New Album『J-POP』リリース!

電気グルーブ

 電気グルーヴ、およそ8年ぶりの帰還である。実に『VOXXX』以来となる『J-POP』を送り出すピエール瀧と石野卓球は、「伝えたいメッセージがないことがテーマ」と何気なく言い放つ。そんな彼らのニューアルバムが持つ中毒性は最強クラス。ひとたび足を踏み入れれば、もうそこからは抜け出せなくなる。リリース直前に行ったインタビューでも、2人のキャラクターは全開。“J-POPアーティスト”にしてはあまりに特異な魅力を持つ、電気グルーヴの世界へようこそ――。

「グループの実態があいまいであればあるほどいいんです」卓球
「知らない人は『こんなグループいるんだ』って感じで聞いてください」瀧

―まずは他の取材でも散々聞かれた内容から始めさせていただこうかと。

石野卓球(以下「卓」)「芸名の由来?」

―そこまでさかのぼらなくても…(笑)。新作『J-POP』のテーマをお願いします。

卓「アルバムを作る前、コンセプトを“だいたいの曲に日本語のボーカルが入っているもの”と決めていたので『J-POP』にしました。特に皮肉がこもっていたりとか、そういうのは一切ないですよ」

―レコーディングで特に気をつけた部分はあったんでしょうか。

ピエール瀧(以下「瀧」)「伝えたいメッセージがなかったので、ちょっと情景が出てしまったり歌詞が意味を持ってきたら、『それはナシで』という感じでメッセージ性を排除していきました」

卓「中途半端にメッセージが入ってしまうと、“何も伝えたいものがない”という部分が薄れてしまうので、歌詞はけっこう書き直しましたね」

―これだけ期間が空いた理由は?

卓「最初は3年ぐらいで作ろうと思っていたんですけど、その間に個人活動も忙しくなって、気付いたら8年経っていた感覚です。しかも年とると時間が経つの早くなるじゃないですか」

瀧「最近だと『去年ぐらいかな』って思っても3〜4年前のことだったりしますからね」

卓「小学校の6年間なんて永遠に続くと思いませんでした? 3、4年生とか一番きついし」

瀧「きついかどうかは分かんないけどさ(笑)」

卓「1、2年のころは何も考えないでしょ。6年生とか雲の上の存在で、オトナだな〜って感じだったじゃん。背も高いし。それが3、4年になるとだんだん物事が分かってきて、『まだ3年あるのか…』とか思ったりして」

―なんとなく分かるような…。学校的に言うと、アルバムは長い宿題のような感覚ですか?

卓「いや、腰を上げるまでに時間がかかっただけなんですよ。レコーディングは3カ月ぐらいだったし、過去にいろんなアルバムを作った中でも、一番すんなりできたと思います」

瀧「レコーディングも特に変わったことはなかったし」

卓「電気としては久しぶりだったから、『ああ、こういうモードだったな』っていうのはありましたね。瀧は最後のほうにスタジオに来ればアルバムはできるとか。そういうコツは分かった…というか、最初から分かってたんですけど(笑)」

瀧「今さら分かっちゃまずいよね(笑)」

卓「でも瀧がいると、ソロや他の仕事とはアウトプットの方向が変わってくるんですよ。かといって、ずっとスタジオにいられてもって話もあったり(笑)。そのあたりの分業の割合は、以前に増してはっきり見えてきたというのはあります」

―レコーディングを終えての気持ちはどうでしたか?

卓「すんなり終わったので、特に達成感もなく(笑)。ただ今回、最終的に後回しになった曲もあるので、勢いがついたうちにもう1枚アルバムを作って、秋に出す予定です。そのタイミングに合わせてツアーもやろうと思っていますよ」

―アルバムに合わせて対談本「電気グルーヴのメロン牧場」の第2弾が出たりと、いよいよ本格的に電気グルーヴの復活ですね。

瀧「『メロン〜』はもう、無駄話の数々ですよ。電気の活動をしていない間、2人が何をやっていたかは多少分かるとは思いますけど」

卓「あれはクオリティーとか関係ないですからね」

―それにしても、伝説のラジオ番組「オールナイト・ニッポン」を知らない人も増えてきたり、ファン層も8年の間に変わってきました。

卓「知らない人のほうが楽ですよ。逆に10年ぐらい前のことを言われても、オレら他にないのかよって思うし(笑)」

瀧「高校時代の部活のこと言われてるみたいだよね」

卓「もちろん、昔からのファンに支えられている部分もあるからありがたいとは思いますけど」

瀧「今回の『J-POP』も、コアな人なりの聞き方はあるだろうし、電気のことを知らない人には『こんなグループいるんだ』っていう感じで聞いてもらえればいいです」

卓「電気はいろんなとらえ方があっていいと思うんです。ラジオを聞いていた人もいれば、役者をやっている瀧から入る人もいたり、僕のDJ活動から入る人もいる。極北のコアファンの人と、そうじゃない人が電気について話したら、たぶん噛み合わないんですよ。でも、それは僕らにとっては喜ばしいことで、グループの実態があいまいであればあるほどいい。例えば『J-POPってどんな音楽ですか?』って外国人に聞かれたら、『日本人がやっているポップス』という以外に説明しようがないじゃないですか。そういう振り幅の自由度はいつも考えますよね」

瀧「J-POPなら、CDの売り場面積も広いしね」

卓「リカルド・ヴィラロボスのファンにアピールするより、湘南之風のファンにアピールするほうが可能性が大きいですから。これ、否定的な意味じゃないですよ(笑)。どういうことかというと、電気をテクノグループと定義するには違和感があると思うんです。『Shangri-La』をテクノと言う人はいないし、やっていることはテクノの範疇からこぼれる部分も多い。しかも、そこがけっこう大事だったりするんです。だからジャンルでいうなら電気グルーヴは『J-POP』以外にないし、特定の層の期待に応えようとすると、やることが制限されてしまうんですよね」

瀧「いま隣りでチャットモンチーの曲が流れてるじゃないですか。そういう場所で取材してるんだから、僕らはJ-POPグループですよ(笑)」

―最後に変な質問していいですか?

瀧「どんな変な顔で?」

卓「どんな変な声で?」

―すいません、アドリブ効くタイプじゃないんで…(苦笑)。今後の展開なんですが、メンバーが増えるようなことはありそうですか?

卓「この2人とやっていけるっていったらよっぽどでしょう。外国人とか、子どもとか…」

瀧「死体とかね」

卓「基本が入った時点で出オチに近くなるから、おそらくないと思います。なんなら入ってみる?」

瀧「3日で白髪になると思うよ(笑)」




(本紙・小池龍之)

『J-POP』初回限定盤3360円(税込)
通常盤  4月2日(水)発売 キューンレコード3059円(税込)


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