
vol.351
聖火採火式に中国政府への抗議乱入
[北京 ロイター]8月に開催する北京五輪を前にした聖火リレーでは、中国当局はチベット自治区を聖火が通過する際、厳重な警備体制で対応に当たる姿勢を見せている。中国政府は「国の団結」を象徴する五輪および聖火リレーを邪魔する動きは断固阻止する構えだ。
北京五輪の聖火は採火式が24日にギリシャで行われたが、式典では北京五輪組織委員会(BOCOG)の劉淇会長の演説中、複数の人権活動家が乱入して中国政府への抗議を行った。この抗議行動は、パリを拠点とする国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が計画したものであることが分かったが、同記者団は、8月8日の北京五輪開幕まで抗議行動を続ける意向を明らかにしている。
聖火は3月31日に北京に到着。そこから世界各地をめぐる聖火リレーがスタートし、5月には世界最高峰のエベレスト山頂通過も計画されている。しかし、テレビ中継も予定されている聖火のエベレスト越えは、チベット自治区ラサで起きた騒乱をきっかけに暗雲が立ち込めている。
一方、匿名のチベットの当局者は24日付のチベット・デーリー紙で、聖火のエベレスト山頂通過は厳戒な警備の下、必ず行われると言明。「地域の聖火リレー指導チームは、すべての関係各部門と緊密に連携・協力する予定だ」とし、「ダライ一派による騒乱や妨害」には厳しく対応するとしている。
チベットでの騒乱については、中国政府はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の一派が、北京五輪を妨害する目的で扇動していると非難。ダライ・ラマ側はこの見解を否定し、北京五輪を支持する意向を表明している。
これについて新華社は「政治的な僧侶(ダライ・ラマ14世)の北京五輪支援の表明は嘘であることが証明されている。彼の支持者らは聖火リレーをボイコットし、ラサやほかの場所での暴力に訴えている。しかし彼らの北京大会妨害の計画は失敗に終わる運命にある」と報じた。
[ワシントン ロイター]ブッシュ米大統領は26日、中国の胡錦濤・国家主席と電話会談し、チベット情勢に懸念を表明するとともに、中国政府に対し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と協議を行うよう促した。
ペリノ大統領報道官は「ブッシュ大統領はチベット情勢に懸念を表明し、中国政府に対し、ダライ・ラマ派と中身のある対話を行うよう促した。また、ジャーナリストや外交官の同地立ち入りも求めた」と述べた。
中国は、騒乱により19人が死亡したとしているが、チベット亡命政府は140人が死亡したと主張。また、外国人ジャーナリストのチベットおよび周辺地域立ち入りを禁止し、中立の現地調査が困難となっている。
フランスが開会式ボイコットの可能性を排除せず
[タルブ(フランス)ロイター]フランスのサルコジ大統領は25日、チベット情勢について責任ある対応を中国に要請する一方、北京五輪の開会式をボイコットする可能性を排除しなかった。
大統領は、ボイコットの可能性について「あらゆる選択肢が開かれている。しかし、中国の当局者の責任感に訴えたい」との姿勢を示した。
チベット亡命政府の発表によると、今回の騒乱では140人が殺害された。フランス政府はチベットでの暴力行為の停止を求めてきたが、これまでは他の西側諸国と同様、五輪ボイコットの可能性は否定していた。
大統領は、中国はチベット情勢をめぐる世界の懸念を理解する必要があるとし、今後の行動は中国当局がどう対応するかによる、と述べた。
“親中派”台湾の馬新総統もボイコット検討へ
[台北 ロイター]台湾の総統選で勝利した国民党の馬英九・前党主席は23日、中国チベット自治区での騒乱の事態が悪化した場合、8月に開催される北京五輪のボイコットも検討するとの考えを明らかにした。馬氏は5月20日に新総統に就任する。
22日の選挙で圧勝した馬氏は記者会見で、チベットでのデモ参加者にする中国政府の鎮圧の状況などを調査すると表明。「チベットでの事態が悪化すれば、われわれは五輪に選手を派遣しない可能性も検討する」と述べた。
さらに、台湾で行われた天安門事件の追悼イベントに参加したこともある馬氏は「中国が人権について行ってきたことを強く批判する」と語った。
馬氏の側近らは先に、北京五輪に参加するかどうかを決定する前に、世論を調査する方針だとしていた。