
vol.351
08年公示地価発表 全国平均は2年連続上昇だが都心部は鈍化
国土交通省は24日、今年1月1日時点の公示地価を発表した。全国平均の伸び率は住宅地が前年比プラス1.3%(昨年0.1%)、商業地が3.8%(同2.3%)と、いずれも2年連続で上昇した。全国平均では昨年を上回ったが、三大都市圏などの都心部では昨年後半から上昇率が鈍化しており、“バブル再燃”との声が出ていた都心部の地価急騰にブレーキがかかった格好だ。「地価の急騰に実需が追いつかなくなった」(国交省)ことに加え、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローンショックで、投機マネーの流入が減少したことも影響した。
地方圏は16年連続で下落したが、住宅地が1.8%(昨年2.7%)、商業地が1.4%(同2.8%)とマイナス幅は4年連続で縮小。企業の積極的な設備投資を背景に、工業地の全国平均がプラス0.5%と1991年以来17年ぶりに上昇するなど、全国的な地価の回復が続いている。
一方で、これまでの地価回復を牽引してきた都心部の地価高騰は沈静化。東京23区の住宅地の上昇率は昨年の11.4%から10.4%に減速。昨年10%以上の値上がりを記録した地点のうち住宅地で85.6%、商業地で76.9%が昨年後半に伸びが縮小した。
東京・銀座8丁目の並木通り沿いに立つオフィスビル。高級ブティックやレストランなどが立ち並ぶ“一等地”。昨年1月1日時点の公示地価は1平方メートル当たり1330万円で前年比18.8%の上昇。さらに7月1日の東京都の地価調査では1560万円と、半年余りで17.3%も値上がりした。ところが、今年の公示地価は1670万円で、後半半年の伸びは7.1%に急減速した。 昨年10月にJR有楽町駅前に百貨店の丸井などが入居する大型複合商業施設「有楽町イトシア」がオープン。8丁目への人の流れが減り、出店が減少したことなどが影響したという。
「昨年の夏場以降、物件の収益性に対する見方が厳しくなり、利回りの低い不動産への投資を手控える選別取引の動きが強まっている」
大手不動産会社の担当者は、こう解説する。最大の原因が、マネーの流れの変調だ。
「サブプライム関連商品の焦げ付きで巨額の損失を抱えた外資系銀行は、不動産融資が完全に機能停止状態にある」(大手不動産の法人営業担当者)
「不動産関連の証券化商品が海外で売れなくなったため、国内金融機関も融資を減らしている」(中堅デベロッパー)
これまで急騰をあおってきた外資系を中心とした投資ファンドや国内のデベロッパーへの資金の“蛇口”は、着実に閉められている。
昨年9月の虎ノ門パストラル売却入札では、「資金調達難から外資系ファンドが入札参加を見送った」(関係者)。単純な転売取引を繰り返していたデベロッパーの中には、「資金繰りに窮するところも出ている」(不動産流通業者)という。
投機的な過熱が沈静化する一方で、今後、国内景気の減速で“実需”が減退する可能性が大きい。一昨年から急騰を続けてきたマンションではすでに、売れ行き不振から大幅な値下げを余儀なくされるケースも出ている。踊り場から景気後退が現実となれば、企業や消費者の土地需要が冷え込むのは確実。地価の先行きへの警戒感が強まっている。
(ビジネスアイ)