
vol.352
大ヒットドラマ『LOST』のクリエーターが仕掛ける究極のパニックムービーの正体は!?
『クローバーフィールド/HAKAISHA』監督
マット・リーヴス
「桜が満開のころに来日できて、この映画も公開できるなんてうれしいよ(笑)」
とにこにこと笑顔を振りまくのは、4月5日から日本でも公開となる映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』を手がけたマット・リーヴス監督。いまアメリカで最も注目されているヒットメイカーの1人J.J.エイブラムスとタッグを組んで“とにかく謎の映画”というビッグプロジェクトを仕掛けた張本人なのだ。
「もともとはJ.J.が『M:i:III』のPRで来日したとき、息子のヘンリーとトイショップに行って、そこで×××がたくさん置いてあるのに感動してね。×××が今も国民的な人気者なんだってことを知って、この映画を思いついたんだよ」。
監督、その×××って、内緒にしておいたほうがいいんじゃ…? アメリカでも立ち上げ当初から“N.Y.に未曾有のパニックが起こる”ということ以外、ほとんどの情報を伏せたまま公開したんですよね。
「そうそう。完全に秘密だったよ。なにしろ撮影4週間前までほとんど誰にも脚本が渡っていない状態だったしね。もともと僕はJ.J.と『フェリシティの青春』というドラマを作っていたんだけど、セカンドシーズンの脚本が事前にインターネットに乗ってしまうという事件が起きたんだ。それ以来J.Jはすごく情報流出に気をつけるようになったんだけど、今回は完全に異色のプロジェクトになった。脚本も数人の人しか読めない“スペシャルペーパー”に書いて、メインキャストたちにもギリギリまで渡さなかった。役者たちも、自分がどんな映画に出演するのかまったく分からずにオーディションにやってきたんだ。僕とJ.J.が組むのなら『フェリシティの青春』みたいな青春群像劇とでも思ってただろうに、それが理由も分からず走りまわらされ、アクションシーンをさせられ…(笑)。でもかえってそれによってリアルさが増したと思う。彼らにとっては、映画と同じように、突然ワケも分からない状況に追い込まれ、自分たちで助け合っていかなくちゃいけなくなったんだからね」
パニック収拾後、セントラルパーク(だったところ)に落ちていた民間人のビデオカメラに残されていた映像…という設定で、全編が手持ちカメラ風の映像で描かれる。その場に自分がいるかのような映像の臨場感はかなりリアル。しかしそのリアルさを確たるものにしているのが、完璧なまでにドキュメンタリー調に仕上げた監督の演出方法だ。
「そう言ってもらえると本当にうれしいよ。J.J.は“君はこんなパニックムービーは撮らないだろうけど、人間ドラマを撮ってきた君だからこそ監督を頼みたいんだ”と言ってくれた。だから僕は、是枝裕和監督の『誰も知らない』みたいなリアルさを目指したんだ」
テロか、自然災害か、それとも事故なのか…。主人公たちは何が起こっているのかも分からず崩れ落ちるビルの谷間を逃げ回る。
「日本でも昔からパニックムービーが人気だけど、襲いかかるものが実際にありえないようなもの、巨大な××とか×××だったとしても、それは時代の不安や恐怖のメタファーなんだ。そこで描かれるのは“実際にとてつもない災害に巻き込まれたらどうしよう”という普遍的な思いなんだ」
だからそれは言っちゃいけないんです。
「あっ、そうだっけ。でも本当のことだから(笑)。最近は予告編が長くなっただけ、みたいな映画が多くなったけど、ちゃんと驚ける映画をこれからも作っていきたいと思う。またこういうプロジェクトをやってみたいね。毎日仮のタイトルを付け替えたり…という事務作業はわずらわしかったけど(笑)」
謎にワクワクしながら映画館でビックリ、パニック体験してみては。
(本紙 秋吉布由子)
| 『クローバーフィールド/HAKAISHA』
監督:マット・リーヴス 出演:マイケル・スタール=デヴィッド他 パラマウント ピクチャーズ ジャパン配給/1時間25分/4月5日よりTOHO シネマズ六本木ヒルズ他にて公開
http://www.04-05.jp/
|