
vol.353
党首討論で福田首相がエキサイト
福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による3カ月ぶりの党首討論が9日、国会内で行われた。政府の日銀正副総裁人事案を参院で相次いで不同意とした民主党の対応について首相は「権力の乱用だ」と述べるなど、話し合い路線から一転して同党への批判を展開した。
福田首相は、直前に不同意とされた日銀副総裁人事に対する民主党の対応に「翻弄(ほんろう)された」と感情をむき出しにした。道路特定財源の平成21年度からの一般財源化をめぐる新提案に乗ってこない民主党へのいらだちは隠せず、「人格が変わったかのような反転攻勢」(自民党幹部)に打って出た。
党首討論の冒頭、首相は揮発油(ガソリン)税の暫定税率を復活させる歳入関連法案を衆院で再議決するかどうかただした小沢氏に向かい、日銀正副総裁人事が不同意になったことを切り出し、「不同意になったことについて代表から説明してほしい」「よほど変な人事でなければ認めるのが国会人事の制度だ」と真顔で詰め寄った。
論戦が進むと首相のボルテージはさらに上がり「民主党は結論が遅い。だれと話せば信用できるのかぜひ教えてほしい。かわいそうなぐらい苦労している」と語気を強める場面が見られた。小沢氏が年金記録問題に話題を変えても「日銀人事についてまだまだ話したいのだが…」とぼやいてみせた。
しかし首相は、行き詰まった政権運営を打開するべく、なおも民主党との話し合いに活路を求める姿勢ものぞかせた。「大連立」を模索した昨秋の小沢氏との党首会談を持ち出し、「小沢氏は一緒になってやらなきゃいけないと考えて会談をセットされた。その気持ちは今でも忘れてもらっては困る」と指摘した。さらに「あの会談以来、なかなかうまく話し合いができる機会がなく、非常に残念だ」とも語り、小沢氏とは断絶状態にあることを吐露した。
党首討論を終えた9日夜には、記者団に「(日銀人事で)どの人を出したってけち付けるんじゃあ、どうしようもない」「(民主党に)反省を求める」と、なおも怒り続けた。ただ低支持率の状況では衆院解散に打って出るわけにもいかず、「国民のために話し合いをしなければならない。私の気持ちは分かってくれていると思う」と秋波を送ることも忘れなかった。
一方、小沢代表は、「政府・与党の出したことをみんな飲むことはありえない」と対決姿勢を鮮明にし、日銀人事での同党の対応に不満をぶちまけた福田首相を「国会運営で大変苦労しているというが、内閣は二院のうち一院しか多数を持たない。去年の参院選でどんな事態が生じたかの認識がなさすぎる」と逆に挑発した。
元財務官僚の日銀副総裁起用に反対した理由については「財務省がポストを占めると既得権になる。こういう官僚支配の構造を直さないといけない」と述べた。
討論後の記者会見では、副総裁候補に再び元財務官僚が提示されれば反対すると明言。「日本は社会主義国といわれるほど官僚支配が強い。自公政権は官僚におんぶにだっこだ」と、批判のボルテージをあげた。首相が討論で民主党を「権力の乱用」と批判したことにも小沢氏は会見で、「責任を負えというなら、参院の意志を尊重して野党の意見も取り入れるのが当たり前だ。人事権はこっちにあるから文句言うな、では国会はいらないじゃないか」と反発した。