今シーズンのフォーミュラ・ニッポンはレースを盛り上げるための大改革が行われ、期待のニューフェイスも続々と参戦するなど、例年以上の盛り上がりを見せることになりそうだ。モータースポーツ好きならずとも見逃せない、フォーミュラ・ニッポンの2008年。その見どころを、モータースポーツジャーナリストの高橋二朗がナビゲート! PROFILE 日本モータースポーツ記者会会員。英Autosport誌の日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1989年にはインディ500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。
――昨シーズンは表彰台が第5戦の鈴鹿で1度。今年は完全復活への期待がかかるシーズンになります。 「去年はなかなかシングルに入れるところまで持っていくことができなかったので、今年はもっと高いレベルで走れるようにしていきたいですね。チームの雰囲気はすごくいいので、今シーズンは僕も期待しています」 ――新しいシーズンはどんな意気込みで臨まれますか? 「今年はARTAの体制もけっこう変わったので、そういう部分も含めてチームを作り上げていく感じになりそうです。自分はこれまでいろんなチームでやってきたので、その経験を生かしたいですね」 ――今シーズン行われたさまざまな改革の中で、井出選手にとってやりやすさを感じるものは? 「パドルシフトは僕にとっては大きいです。フォーミュラ・ニッポンはハンドルが重くてドライバーにかかる負担が大きかったんですけど、手元でギアチェンジできるようになったのはすごく助かります。それに、パドルシフトは単純にかっこいいじゃないですか(笑)。やっぱりトップフォーミュラはシフトレバーじゃなく、パドルシフトでやることが大切ですよ」 ――ルーキーの伊沢選手とコンビを組むことになりましたが、印象は? 「彼とはクルマの話をしたり、良い形でコミュニケーションができています。僕も優しい先輩だと思いますし(笑)。自分もフォーミュラ・ニッポンでデビューした年は不安でしたから、彼と一緒にいると良い意味で初心に戻れますね」 ――今シーズンは他チームにもルーキーが入ってきたりと、「ベテランvs新人」の構図もあります。これまで苦労を重ねながらキャリアを積んできた井出選手だけに、意地を見せたいという気持ちは強いのでは? 「けっこう僕って楽して生きてきたように思われるんですよね(笑)。まあ、そういう気持ちの部分では誰にも負けないという思いでこれまでやってきています。それにドライバー1人では何もできないので、周りの協力があってこそ走れているという気持ちも忘れてはいけないですね」 ――ところで井出選手が「すごい」と思うドライバーはいらっしゃいますか? 「コース上で“勝てない”ということではないんですけど、ブノワ(トレルイエ)はおかしくなった犬みたいな感じですごいですよ(笑)。IMPUL時代にチームメイトだった時の話ですけど、チームのミーティングで『タイヤが厳しいから最初の10周は抑えていこう、分かったかブノワ』って言われて、彼も『はい』って答えたんです。なのに、スタートしたら全開でいっちゃって。案の定、10周後にはタイヤが終わってました(笑)。レースが始まると、もうスイッチが入っちゃうんでしょうね」 ――それは強烈ですね(笑)。もっと面白い話もたくさん出てきそうですが…(笑)、最後に読者の方にメッセージをお願いします。 「フォーミュラ・ニッポンは1秒の間に10台入ってくるような激しいバトルが魅力ですし、クルマ自体も鈴鹿でラップタイムが1分40秒を切ったりと、今まで以上に速くなっています。今シーズンは高いレベルのレースになると思いますので、ぜひサーキットに来ていただいてフォーミュラ・ニッポンの面白さを知ってもらえればうれしいですね」