
vol.353
東京風景
東京は曇りのトワイライトが美しい!
そろそろ散歩にいい季節になった。4月9日の夕刻、本紙連載中の『吉川晃司 路地裏ダイヤモンド』で紹介されていた夕日の美しいスポットに足を向けてみた。編集部のある六本木からその場所はすぐ近く。外苑東通りを乃木坂方向に向かい、乃木坂駅の脇の路地を左に入る。一見行き止まりにも見えるその突き当たりは車用の乃木坂トンネルで、両脇に外苑西通りに降りる階段がついている。
残念ながら曇った空は晴れず、この日は夕日は見られなかった。しかし、もやっと霞んだ空を背景に黄白色に灯る街灯が美しく、それはそれで印象的な風景だった。
都心の街並みを一番美しく感じるのは、おそらく高層階から夜景を見たときだろう。昼間は何の魅力も感じないビル群が、夜になるとがぜん自分たちの魅力を誇示する。しかしこの街灯を見ていると、トワイライトタイムも夜景に劣らず魅力的。振り返り、来た道を戻ると、乃木坂駅に隣接する『桂由実ブライダルハウス』の光のオブジェもキラキラと輝いていた。
たそがれ時を『逢魔が時』と表現したのは昔のことだ。昼とも夜ともつかない薄暗い時間にはさまざまな魔が現れるということだが、こんな時間は、今もどこかに『魔』が潜んでいそうな雰囲気がある。人工の光がいっせいに輝き出す都心のトワイライトは、晴れの日より曇りの方が美しい。