
vol.354
英国系投資TCI Jパワー株買い増しで中止勧告
甘利明経済産業相と額賀福志郎財務相は16日、英国系投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)によるJパワー(電源開発)株買い増しの申請に対し、外為法に基づく買い増し中止勧告を出した。外為法に基づく外国人投資家への中止勧告は初めて。TCIが勧告に従わなければ、政府は罰則を伴う中止命令を出せる。TCIは訴訟も辞さない構えだ。
TCIアジア代表のジョン・ホー氏は同日午後、勧告の出る直前に都内で会見し、勧告への対応について「(多くの)選択肢の中から時間をかけて考えたい」と述べるにとどめた。ただ、これまでに同氏は「法的措置を含めて検討する」との考えを示しており、勧告に応じない可能性が高く、中止命令への不服申し立てを検討するとみられる。Jパワーの発行済み株式総数に占める9.9%の株は、保有し続ける考えを示した。
TCIは今年1月、保有するJパワー株の9.9%を20%まで買い増す計画を政府に申請。外為法は「公の秩序の維持を妨げるおそれ」などがある場合、外資による上場企業10%以上の株取得を禁ずることができる。両相は15日の関税・外国為替等審議会(外為審)外資特別部会に審議を求め、外為審からの「おそれあり」との答申を受け、中止勧告に踏み切った。
経産、財務両省はこの日の会見で、TCIがドイツ取引所の投資案件で、10%程度の議決権保有比率でも同社経営陣を交代させたことなどを勧告理由に挙げた。また、TCIがJパワーに提案した経営目標値の設定には、「原子力発電所建設や送電施設への投資・修繕などに悪影響がぬぐえなかった」とし、「悪影響なしと判断できれば別の結論もあり得た」とした。
エコノミストからは「日本株への投資リスクを印象づけた点で、心理的な影響はある」との声も聞かれるが、対日促進政策を担当する内閣府は「投資規制と投資促進はどこの国も両立している」として、着実に対日投資促進を図る考えだ。