
vol.355
ポップを追求したニューシングル「キミ、メグル、ボク」
秦 基博
「硝子と鋼でできた声」のキャッチフレーズでセンセーショナルなデビューを飾った、シンガーソングライターの秦 基博(はた・もとひろ)が、ニューシングル「キミ、メグル、ボク」をリリースした。これまでの作品とはガラリと雰囲気を変えたポップチューンに、秦の引き出しの多さを見せ付けられて…。
『愛してる』は、ファンの気持ちに応えたい思いなんです
――「キミ、メグル、ボク」は、とことんポップで驚きました。
「この作品は、自分のなかでどこまで振り切れるのか、ポップというものにどこまで寄せられるかというのがテーマとしてありました」
――アニメ「イタズラなKiss」主題歌やPOCARI SWEAT PRESENTS「ブカツの天使」応援ソングであることに関係が?
「うーん、世界観を参考にさせてもらった部分はありますね。というのも、この曲の前に、「虹が消えた日」(6月4日にリリース予定の次作シングル)を先に作っていて、この曲がアコースティックでありながら力強い芯の通った骨太なサウンドなんですよ。それを作り終えた後のモードとして、もう1つ逆の方向へ振り切ったもの、ポップを突き詰めてみようかなという欲求が生まれて。そんなタイミングで今回のお話をいただいて、3年ぐらい前からあったメロディーをもとに、青春時代のピュアさや原作の空気感を参考に、この曲の世界を構築していった、という感じです」
――これまで聞いてきた感覚でいうと、このポップさは“裏切り”的な感覚です。もちろん、良い意味でですが。
「サウンドに関しては、アルバムでも何曲かお世話になっている松浦(晃久)さんにお願いしているんですが、弾き語りで作ってきた曲に対してそれをどう広げていくかという方向でアレンジしてもらうというこれまでの方法ではなくて、今回は、このメロディーと言葉をどうポップにできるかというベクトルですすめました。ある意味、秦 基博らしさっていうのはちょっと置いてあるという」
――ポップ、ポップスというと、明るさや軽さを通り越して、軽薄になってしまう危険性もあるなかで、この曲はすごく体に残るポップ。そこは秦さんらしいですよ。
「やりたいことはポップでしたけど、音を作り上げていく人たちはロックでしたから(笑)。そういう意味で、力強さやゴリッとした感じが残っていると思いますよ」
――さて、歌詞なんですが、かなりストレートなラブソングですね。
「主人公は10代、思春期のころに設定しているんです。ストレートな分、無謀な強さが出ればと思って言葉を選びました。歌っているのは、2人が出会う “点”ですけど、それぞれにストーリーがあって出会ったわけだから、その瞬発力を表現したかったんです」
――ちなみに、秦さんの恋愛経験や恋愛感が反映されていたり?
「されているかといえば……むしろない(笑)。はっきりと別人格として捕らえていて、曲のなかの“ボク”と“キミ”だったらどう思うかを書いています。この曲に限らずなんですが、僕の曲で自分そのものを歌った曲ってないんですよ。この曲は特に、それが如実に出てるんじゃないでしょうか」
――自分ではない主人公を設定したほうが歌詞を書きやすい、という人も。
「等身大で書こうとしたら出てこない言葉ってありますからね。とくにこの曲なんてそうだし。ただ、曲が(主人公や言葉を)呼ぶ部分もたくさんあると思います」
――この作品は、ポップに寄せていくという挑戦でもありました。そのなかで、発見したことはありますか?
「やっぱり言葉の選び方ですかね。ここまで書いていいんだ、とか。自分のなかでいいものはコレだっていうのがあって、それを大事にしようと思うんだけれど、それにこだわっていてもいけないという。自分がいいと思うものばかりを使っていたら同じになってしまいますから。そういう意味で、今回の曲に関してはどこまでいけるかな、っていう挑戦が多かったんです。それに加えて、文字で見ると恥ずかしくなるような内容でも、メロディーに乗せると全然違うということにも改めて気づかされたというか。だから、もっと自由でいいと思いました。そう実感できたことは、今後の作品づくりにプラスになるんじゃないかなと思います」
――まもなくツアーも始まり、続くシングルを挟んで、恒例のオーガスタキャンプもありますね。
「ツアーのほうは、バンドメンバーとの結束力もさらに強まってきたので、どんなものになるのか自分でも楽しみにしています。オーガスタキャンプはあそこが自分のスタートした場所でもあるので。みんなで楽しみたいですね」
(本紙・酒井紫野)
「キミ、メグル、ボク」は、BMG JAPAN/AUGUSTA RECORDS より発売中。
LIVEDVD付きの初回盤は1575円、CDのみは1260円。ともに税込。
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