

vol.355
ダニカ・パトリックがINDY JAPANで初優勝!
モータースポーツ界が、「女王」の誕生に沸いた。
20日、ツインリンクもてぎで米国最高峰の自動車レース、インディカー・シリーズ第3戦「INDY JAPAN 300mile」が行われ、ダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が初優勝。世界トップレベルの自動車レース(ラリーを除く)で、初めて女性ドライバーが頂点に立った。2位はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、3位はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)。
天候不順のため公式予選が中止になり、19日に予定されていた決勝レースも1日順延。波乱要素の多かった日本での戦いで、ついにパトリックが輝かしい歴史を打ち立てた。パトリックは6番手からスタートし、燃費を抑えてピットストップの回数を減らす作戦を取った。中盤まではディクソン、カストロネベスらが上位陣を形成する中、粘り強く燃費走行に徹していた。
そして残すところ3周で、彼女に勝利の女神がほほえんだ。先頭集団が次々と燃料切れのためピットインしたため2位に浮上したパトリックは、カストロネベスを抜き去りついにトップへ。そのまま歓喜のチェッカーを受け、参戦4年目、通算50戦目にして悲願の優勝を果たした。
マシンを降りると、母・ベブさんと固く抱き合った。「最後は感情が込み上げて、涙が出た。自分が歴史を作るんだと信じていたが、ついにその日が来た」。157センチ、45キロの小さな女傑は、興奮気味にレースを振り返った。
「長かった。いつ優勝できるかって、何百回も聞かれたわ。もう、この質問に答える必要がないと思うとホッとする」
本人は「女だから、という意識はない」というが、注目を利用しようとする者、それに対する反発から冷たい視線を向ける者は多かった。数々の偏見にさらされてきたが「男以上に勝ち気」といわれる精神力で、ついに頂点に立った。
「好きなことを見つけて、人生のすべてをささげられれば、必ずトップになれるはず」。世の女性へのメッセージを求められると、史上初の女王は晴れ晴れとした表情で言い切った。
5月最後の日曜日には、インディカー・シリーズを代表する「INDY 500」が行われる。日本でとてつもない偉業を成し遂げ、ついに「初優勝」というプレッシャーから開放されたダニカ・パトリックが、本国アメリカでも勝ちを積み重ねていく可能性は高い。今年で92回目の迎える伝統のレースでも、再び世界を驚かせることができるか注目だ。
武藤は11位も「僕にもできる」
期待の日本勢は、初の凱旋レースとなった武藤英紀(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が11位、ロジャー安川(ベック)は134周でリタイアし14位という結果に終わった。
チャンピオンチームからのフル参戦という「ニュース」を引っさげてツインリンクもてぎでのレースに臨んだ武藤だったが、1度目のピットインからコースに戻る際にスピン。マシン前部を破損してピットに戻るなど、ばたついたレースで上位入賞を果たすことができなかった。
レース後の武藤は「学ぶものの多いレースでした。結果はよくないけど、経験で得たものは大きい」とコメント。この日優勝したパトリックがチームメートということもあり、「彼女にできるなら僕にもできる」と、今後の戦いへ意欲を見せた。