今週のTOKYO HEADLINE
vol.356
(2008.05/05-05/10)
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INTERVIEW vol.356

fall in love with the Violin
脅威のバイオリン兄弟、日本上陸!

Nuttin' But Stringz

ニューヨークはクイーンズ出身。見た目も生き方も半端じゃなくゴツいラッパーの50セントはご近所さん。そんなエスコバーブラザーズによる、Nuttin' But Stringz(ナッシン・バット・ストリングス)が日本デビュー・アルバム『STRUGGLE FROM THE SUBWAY TO THE CHARTS』を発売する。アメリカを熱狂させている彼らとはどんな人? 来日中の兄弟に聞いた。

 2006年、アメリカが沸いた。高貴なバイオリンの音色を響かせたかと思えば、R&Bシンガーのように歌いだす。しまいには、ヒップホッパーよろしくオーディエンスに「騒げ〜!」とオーダー。新しいものが次々と生まれるアメリカは、相当のことではなかなか驚かない。が、Nuttin' But Stringz(ナッシン・バット・ストリングス、NBS)には、国中が夢中になった。YouTubeで配信されたパフォーマンス映像にアクセス集中。最後には、ホワイトハウスにも招かれて、ブッシュ大統領の前でパフォーマンスもするというおまけもついてきた。

「正直、俺たちだって驚いたよ。当時、2曲しか持ち曲がなかったっていうのに、あれだけ支持してくれる人がいたんだから。自分たちがやってきたこと、やろうとしていることに確信が持てたよ」(トーリー・エスコバー)

 NBSの構成員は、トーリー・エスコバー(写真右)とダミアン・エスコバー(写真左)。ニューヨークはクイーンズの出身の兄弟だ。バイオリンというと良家の子女が習うものというイメージが少なからずあるが、彼らが育ったのは、ストリートギャングが闊歩し、安全で理想的な環境とは言いがたい。

 そんななかで小学校の必修のプログラムでバイオリンと出会った。兄のトーリーはおもしろみを見出せずにしばらくして放棄。一方、ダミアンは、兄が持ち帰ったバイオリンを見て、恋に落ちたのだという。

「見た瞬間から引き込まれる何かがあったんだ。それからずっとバイオリンに恋してる。それまでは、子供向けのテレビ番組やディズニーでしか聞いたことなかったのにクラシックも大好きになった(笑)」(ダミアン)

 夢中になったダミアンを見て、トーリーも再びバイオリンを手にする。教師をしていた母親はそんな兄弟を見て、クラシック音楽の有名校であるジュリアード音楽院に通わせ、基礎を徹底的に学ばせた。

 そのまま、クラシックのキャリアを追求することもできただろう。しかし、2人はそうならず、今の道を選んだ。

「いろんな音楽を聴きながら育ってきて、ほかの音楽、HIP HOPやロックにバイオリンを使ってみようかと思ったんだ。それをダミアンに話した時、あり得ないって顔してたのを覚えてるよ(笑)。でも、その後になってね…」(トーリー)

「やるよって(笑)。クラシックのシステムにすこしうんざりしてたんだ。今まで好き放題に弾いてきたのに、ああして、こうして、そうやっちゃダメだって指導されるだろ」(ダミアン)

 そんなストレスを晴らすため? ジュリアードに通いながら、2人はNBSの原点となる地下鉄に向かった。駅構内やプラットフォーム、列車の中で演奏を始めた。

「誰かに聞いてもらいたいとか、自分たちの音楽をやりたいとかいうのもあるけどさ、一番の理由は小遣い欲しさだよ(笑)。ピカピカしたスニーカーもクールな洋服…いろんなものが欲しかった。それを手に入れるには地下鉄で稼ぐのが手っ取り早かったからね。だって日に300ドルも400ドルも稼ぐんだからさ。その年ごろにとっては大金さ。ダミアンなんて稼いだ分使ってた(笑)」(トーリー)

 あるインタビューでは、乗客をリサーチし、一番稼げる路線でプレーしたといっている。

「その金があったから、今があるってもんだ。ジャンルに限らずインディーズは、まず金がなくて困る。レコーディングどころか、スタジオに入ることだってままならないからね」(トーリー)

「一時期は自ら会社を起こそうと思っていた」というが、現在のマネジャーに見出され、レコード会社と契約。地下鉄からも退き、アポロシアターなど有名なべニューでもパフォーマンスをするようになった。そして、先のホワイトハウスだ。まさに、アルバムのタイトルがごとく、地下鉄からチャート=メインストリームへ向かって突き進んでいるのだ。

D.I.Yなデビュー作

 デビュー・アルバム『STRUGGLE FROM THE SUBWAY TO THE CHARTS』はD.I.Yな作品だ。

「作曲、作詞、演奏。プロデュースやエンジニアリングだって自分たちでやったんだ。どこの馬の骨か分からないインディーズだった俺たちにとって、それしか方法がなかったしね。最近よくあるけど、腕のいいプロデューサーと組むことなんてお話にもならなかったよ。このアルバムは俺たちを成長させてくれたし、スペシャルな作品になった」(ダミアン)

「とにかくこの作品で俺たちの音楽について知ってもらえればいいと思うよ。これからもどんどんすごいアルバムを作っていこうと思うから、楽しみにしていてほしいね」(トーリー)




(本紙・酒井紫野)

『STRUGGLE FROM THE SUBWAY TO THE CHARTS』(写真・左)は5月21日にソニーミュージックジャパンインターナショナルから発売される。また、アルバムに先立ち、先月シングル「THUNDER」(写真・右)をリリースしている。この作品のビデオでは、日本のダンスシーンを牽引してきたISOPPとコラボした。


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