
vol.356
歳入関連法案「みなし否決」規定に基づき再議決
揮発油(ガソリン)税の暫定税率などを担保する歳入関連法案は4月30日、衆院本会議で再議決され、出席議員の3分の2以上の賛成多数で可決、1月23日の法案提出から99日目で成立した。民主、社民、国民新の3党は欠席した。憲法59条の「みなし否決」規定に基づく衆院再議決は、昭和27年の国立病院特別会計所属資産譲渡特別措置法以来56年ぶり2例目。
政府は本会議後、歳入関連法の施行日を5月1日とする政令を閣議決定。これにより1日からガソリン1リットルあたり約25円の暫定税率が1カ月ぶりに復活した。
歳入関連法は、揮発油税や自動車重量税の暫定税率を今年度から10年延長することを明記、土地売買にかかる登録免許税の軽減措置など租税特別措置の改正を盛り込んでいる。同法案の地方分なども、みなし否決を経た衆院再議決で成立した。
福田康夫首相は30日夜、首相官邸で記者会見し、「国民のみなさまが家計のやりくりに苦労しているときに再び負担をお願いするのは心苦しいが、国全体の財政・福祉をあずかる立場として、歳入不足が継続する無責任な状態を解消することが必要だと判断した」と述べ、理解を求めた。
自らが打ち出した平成21年度からの道路特定財源の一般財源化について、首相は、「国民が主役となる行政への転換だ。道路特定財源から脱却し、生活者が求める政策に使うための生活者財源改革だ」と強調。一般財源化後の税率は「今の水準を維持していくのが妥当だ」と述べた。衆院解散については、「現時点で考えていない。1つの課題で解散しなければならないことはなく、総合的に判断する」と強く否定した。
民主党は朝には国会内で小沢一郎代表も加わり、衆参両院議員総会を開き気勢を上げた。その後、中堅・若手衆院議員でつくるガソリン値下げ隊に参院議員も合流。約100人が衆院議長室前の廊下へ詰めかけ、河野洋平衆院議長が本会議場に入るのを阻む態勢をとった。
法案成立後の同日夕には、鳩山由紀夫幹事長は若手議員らとJR有楽町駅前に繰り出し、緊急の街頭演説。多くの買い物帰りの女性や会社員らが足を止め、演説に拍手する姿が見られた。鳩山氏は演説後、「みんな話を聞いてくれた。手応えが良かった」と振り返った。菅直人代表代行は「2兆6000億円ものガソリン増税を再議決した衆院は国民の意思とかけ離れている。衆院を解散すべきだ」と語った。
道路特定財源の暫定税率を含む歳入関連法案が30日の衆院本会議で再議決・成立したことで、税収減の影響は、国・地方で1800億円程度となる見通しだ。
財政的には、暫定税率の失効が1年続くと、2兆6000億円の歳入欠陥が生じると試算されていた。自民党の伊吹文明幹事長は「失効が長引けば赤字国債を発行せざるを得ない」と危機感を募らせていたが、最悪の事態は回避できそうだ。
額賀福志郎財務相は今後の対応について30日、「事業は円滑に進める」と、今年度予算で計画通りの道路整備を行う考えを強調。一方、随意契約の見直しなど「できるだけ無駄を省く」ことで、歳入の穴の一部を埋める考えを示した。