
vol.356
日銀展望リポート 利上げ路線を撤回
日銀は30日、政策委員会・金融政策決定会合を開き、政策金利を年0.5%に据え置くことを決めるとともに、中長期的な経済見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を取りまとめた。リポートでは金融政策の運営スタンスについて、これまで「金利水準は引き上げていく方向にある」との文言を削除。「上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、機動的に行っていく」とし、利上げによる金利正常化から利下げも排除しない景気に配慮した姿勢への転換を打ち出した。 会合後に白川方明総裁は「10月までは(利上げの)大きな方向感があったが、経済は足元で下振れしている」と述べ、利上げ路線の凍結に言及した。
その最大の要因が国内景気の減速。リポートでは08年度の実質国内総生産(GDP)成長率について、2人の欠員で7人となっている政策委員の予想の中央値が、昨年10月時点の2.1%から1.5%に下方修正された。公表された09年度予測も1.7%にとどまっている。
景気の先行き見通しでは「おおむね潜在成長率(1%台半ばないし後半)並みの成長を続ける可能性が高い」と、景気拡大シナリオは維持。しかし、10月のリポートの「生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続ける」との表現からは大きく後退した内容になった。
さらに下振れリスクとして、米国のサブプライム住宅ローン問題に揺れる世界経済と国際金融市場の動向と、エネルギー・原材料高を挙げた。特に、白川総裁は会見で「国際商品市況がずいぶん速く上昇している」とし、コスト上昇と物価高による企業業績と消費への影響に懸念を示した。
(ビジネスアイ)