今週のTOKYO HEADLINE
vol.357
(2008.05/12-05/18)
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写真:加藤大毅
INTERVIEW vol.357

大人の女に必要なのは恋とアートと政治討論!?“大人カワイイ”はこの女優に学べ!!

ジュリー・デルピー

『恋人までの距離』『ビフォア・サンセット』などで日本でも人気のフランス人女優ジュリー・デルピーが、ついに本領発揮!! 監督・脚本・製作・編集・音楽、そして主演をこなした話題作『パリ、恋人たちの2日間』がいよいよ日本公開。来日したジュリーを直撃!

 グルメもアートも恋も大好きというフランス人マリオンと、皮肉屋で自己中心的だけど憎めないアメリカ人ジャック。これまで上手くいっていた(はず)なのに、マリオンの実家パリで過ごすことにした2人、思わぬハプニングの連続に、互いの“欠点”がぶつかり合って…。

 ジュリーが挑んだ初めての監督作は、典型的なフランス女とアメリカ男というカップルのパリ滞在の2日間を描いたラブコメディー。

「確かに2人ともイライラさせられる部分はあるけれど、私は大好きなの。この2人はお互いに愛したい、愛されたいと思っている、根は優しい人たち。どちらも愛すべきキャラクターなのよ」

 舞台はパリ。当然、本作にもパリの名所が登場する。しかしジュリーは、そんな名所の数々のイメージをひっくり返して遊んでみせる。

「この映画に出てくる名所は、場所と場面のコントラストを考えて選んだものなの。サンマルタン運河がとてもロマンチックな場所だからあえてケンカのシーンに使ったり、ビル・アケム橋では『ラスト・タンゴ・イン・パリ』のマーロン・ブランドのセクシーさとはかけ離れたモノマネをさせたり…それぞれの場所が持っている印象を壊すような使い方をしたの。映画自体は、ある種のロマンティックさを感じられる作品に仕上がっているとは思うけれど、やっぱりある程度のシニカルさは含んでいるわ。そもそもロマンチズムってなんだろう、と考えさせられる作品になったんじゃないかしら」。

 本作に見るもう1つの独特さが、全編に散りばめられた“社会派トーク”。

「愛や政治は私の好きなテーマなの。だから、この映画はコメディーではあるんだけど、あえて政治的、社会的セリフを加えたわ。実は、シナリオを読んで“ラブコメディーなのにそういう台詞があるのはどうか”という意見も多かったわ。初めての監督作品だし、ちょうどサルコジ政権のあれやこれやで微妙な時期だったし。なによりラブコメというのは政治的、社会的な要素を入れないのが通常の方法だから。でも、それならあえてそれを壊す必要があるとも思った。できあがってみると、その部分が楽しかったと言ってくれる人がたくさんいたわ。これからも自分は既存のもの、形があるものを壊して、新しい作品を作り出していきたいと思う」

 そんなジュリーを応援するように、本作ではジュリー演じるマリオンの両親役で、ジュリー本人の両親が出演している。

「マリオンの両親のキャラクターは、私の両親に似ている部分もあるけれどほとんどは作られたものよ。でもマリオンの母親と同じように、私の母も娘がプライバシーのある大人だということが理解できないし、私の父もグルメとセックスの話が好きね(笑)。でもそれ以外は、友人や知人から聞いた話を使ったのよ」

 ところで、マリオンとジャックはパリに滞在したことで気持ちがすれ違ってしまったけれどもし彼らがパリに訪れなかったとしたら…?

「彼らが抱えている問題はとてもリアルなもの。どこかで解決しないと結局2人の関係はうまくいかないものだと思う。マリオンは元カレと連絡を取り合っていて、まだつながっているところをみると、彼女はまだジャック以外の可能性を模索しているフシもあるわ(笑)。一方ジャックはもし自分が相手に支配されるようになったらどうしようと恐れている男。このままではどのみち別れるだろう2人なの。何もしなければね」

 元カレたちと仲むつまじい、今まで知らなかったマリオンの一面にすっかり戸惑ってしまうジャックと、“なんでもないことよ”とあっけらかんとするマリオン。ベッドの中で交わされる象徴的な会話にも、思わず苦笑してしまう。

「マリオンは単純に“ステキなひととき”を過ごしたかっただけなのにね(笑)。でもジャックは“上になる”というだけで支配されてしまうとまで考えてしまうの」

 ウィットに富んだ会話の数々は、パリッ子ならでは、といったところだろうか。

「フランス人が、食べることや政治やアート、セックスの話が大好きなことは実際にパリに行けば体験できると思うわ。フランス人にとって考えていることを言葉にするのは当たり前のことなの。市場なんかでは、人に言えないような言葉の応酬をしているわよ(笑)。この映画ではそんなことを茶化して描いてはいるけれど、でも最近のパリに住む若い人は、ちゃんと英語を話してくれる人も増えているみたいよ」

“憧れのパリ”というイメージを壊しながらも、それの奥にある“一筋縄ではいかないパリ”の魅力を味わわせてくれる作品。知的で美しいというジュリーのイメージにも、新たな魅力が加わるはず。




(本紙 秋吉布由子)

『パリ、恋人たちの2日間』 監督・脚本・製作・編集・音楽・主演:ジュリー・デルピー 出演:アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール他 アルバトロス・フィルム配給/1時間41分/5月24日より恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマ他にて公開 http://www.paris-2days.com/


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