
vol.357
資金難には勝てず…スーパーアグリがF1撤退
2005年11月からの2年4カ月、“メイド・イン・ジャパン”を掲げて奮戦していたアーパーアグリが、「資金難」というあまりに過酷な現実を前に歴史を終えることになった。
6日、鈴木亜久里代表は都内で会見を行い、資金不足によりF1を撤退することを発表した。チームは参戦2年目の昨シーズン後半、メーンスポンサーの契約不履行で資金難に陥っており、今シーズン開幕直前に英国の自動車関連会社マグマ・グループと買収で基本合意し交渉が進行。しかし4月になってマグマの後ろ盾だった中東の投資グループが手を引いたことで白紙になった。その後、ドイツの自動車部品会社と資本参加で基本合意したものの、「条件面を煮詰める時間がなく、トルコGPに間に合わない」(鈴木代表)ことから撤退を決断した。
今後は佐藤琢磨らドライバーの移籍先探しやチーム運営会社(英国)の解散など残務処理に当たり、態勢を立て直してからの再参戦も否定した。これにより、F1は2005年以来となる10チームによる争いとなる。
F1の年間予算は高騰を続け、トップチームは300億〜500億円を投入している。ほとんどのチームは有力自動車メーカーや巨大資本家がオーナー。そんな中、プライベートチームであるスーパーアグリには、戦うための“体力”がなかった。
今季からは他チームのシャシーを購入しての参戦を認めるなど、プライベートの参戦を容易にする経費削減の改革が実施されるはずだった。だが、2010年からは完全に自社製シャシーでなければ参戦できないなど事態は逆行。当初、新しく名乗り出ていたチームも参戦を取りやめた。
「僕の現役時代のように年間予算30億円程度ならともかく、今、プライベートのチームが成り立っていくのは難しい」と鈴木代表は吐露。
資本の論理で簡単にレース活動を切り捨てる可能性のある大企業しか参加できない現状は、F1の将来に不安の影を落としている。