
vol.358
中国四川省でM7.8の大地震 死傷者多数
12日午後2時28分(日本時間同3時28分)、中国南西部・四川省を震源とする大規模地震が発生した。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.8。北京五輪まで3カ月を切る中、チベット騒乱で揺れる中国に新たな混乱が襲った。
米地質調査所(USGS)によると、震源は省都・成都から北西に約90キロ離れた同省アバ・チベット族チャン族自治州川(ぶんせん)県で、震源の深さは約10キロ。揺れは台湾、バンコク、ハノイなどへも広がった。
成都市内では地震発生から約1分間揺れが続いた。ビルの窓ガラスが落下し、屋内の棚や電気製品などが倒れた。水道管が破裂し街は水びたしの状況で、飲食店やホテルは閉店。中国中央テレビの電話取材に答えた成都市民の男性は市内の一部で電話が不通になっていると語った。成都国際空港では航空機の発着が停止。北京でも四川省の地震発生から約7分後に、M3.9の地震が観測された。
14日には、武装警察部隊を中心とする救援隊による本格的な救助活動がようやく始まった。中国国営新華社通信によると、救援隊は13日午後から、人口約3万人の県中心部と同県にある人口1万2000人の映秀に徒歩と水路で到着。14日夕までに500人の死亡を確認。前日、悪天候のため見送られた軍用ヘリコプターによる救援物資の空中投下が始まった。14日午後8時(日本時間同9時)までに、川県とその周辺地域に食料や飲料水、医薬品、衛星通信システムなど33.3トンを輸送。帰還する際に計156人の負傷者を搬送した。
川県は交通・通信が寸断され陸の孤島となっていた。映秀の道路の70%以上が損壊、橋はほぼすべてが崩壊していた。生存が確認されたのは約3000人で、がれきの下からは助けを求める子供の声が聞こえているという。陣頭指揮を執る温家宝首相も同日午後、ヘリで映秀に入り、惨状を視察した。
同日午後4時(同5時)現在、地震による死者は1万4866人に達した。四川省ではさらに1405人が行方不明、2万5788人が生き埋めになっている。
中国財政省は被災地への8億6000万元(約130億円)の財政資金拠出を発表した。
中国政府は今回の地震を4段階中2番目に深刻な「レベル2」に指定した。胡錦濤国家主席は負傷者救助と被災地住民の安全確保に「国家を挙げて」取り組むよう指示した。
中国では3月21日にも、新疆ウイグル自治区の崑崙山脈付近でM7.2の大規模地震が起きたばかり。この地震では約2300戸の家屋が倒壊し、約4万4000人が被災した。
四川省では、過去100年の間にM7.0以上の地震が少なくとも4回起きており、計約1万5200人の死者が出ている。
漢族、チベット族、回族、チャン族が混在する川県の総人口は約10万6000人で、西南部にはパンダの自然保護区がある。
救助に何日かかるんだ!?
甚大な被害が明らかになる一方、救助活動は難航。迅速な救援で被害を最小限にし、内外に威信を示すはずだった中国政府は、被災民の不満や国民の批判に直面、13日には日本などに支援を要請、また五輪聖火リレーの規模縮小に追い込まれた。中国政府は地震発生直後に温家宝首相が現地四川省入りし、救援活動を陣頭指揮。同夜には党中央政治局常務委員会で、軍・政府各部門挙げての救助・救援活動を決めた。国民の人命・財産保護を最優先することをアピール、国民の結束を図り、災害を克服する狙いだった。
今回、中央テレビは24時間、広告抜きで震災報道を続けた。現場の実況に加え、通常は秘密の部隊の動向などを流し、死傷者数も克明に伝えた。これは政府が震災克服に自信を持ち、なにかと不満の多い国民の信頼を回復するためとみられた。災害の実況中継が、国民の関心を異常に高めたのはよかったが、映像は、倒壊した中学校の遅々たる救出活動、温首相に涙で訴える母親、食べ物を求め大声で泣く幼女も映しだした。
特に震源地の川(ぶんせん)県に通じる道路が落石で埋まり、軍などの救援隊が100キロの道を徒歩で進む光景は、なぜ軍はヘリを使わないのかとの疑問を生んだ。
13日午後の民政省など政府部門高官の記者会見では「被災民への食糧などの物資が足らない」「救助活動のプロの派遣を外国に求めろ」「救助にあと何日かかるのか」など厳しい質問が飛んだ。