
vol.358
Jパワー株買い増しでTCIに中止命令
甘利明経済産業相と額賀福志郎財務相は13日、Jパワー(電源開発)株の買い増しを求める英系投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)に対し、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づく初の中止命令を出した。
Jパワーは全国に送電線を張り巡らしているほか、核燃料サイクルの主要施設に位置づけられている大間原子力発電所の建設を計画しており、「公共性」が高い。
両相が中止命令を出したのは、TCIが申請している20%までの買い増しを認めれば、TCIの影響が強まり、原発など設備投資計画に影響が出ると判断したため。
TCIは今月8日、同様の判断を示した中止勧告に対し、「持ち株比率20%の株主の権限は限定的」などとする弁明書を提出しているが、「過去の投資案件や要求を踏まえて、(買い増しが)Jパワーの経営に影響があるという判断は変わらなかった」(経産相)。
TCIアジア代表のジョン・ホー氏は13日、「今回の決定は、Jパワーのコーポレートガバナンス(企業統治)を改善することを目指す合法的な株主を差別している」とコメント。今後、両相への不服申し立てなども検討するもよう。
ただ、申立期限は7月14日のため、当面はJパワー株主総会に向け、増配や持ち合い株式放出を求めた株主提案の可決に向けて委任状争奪戦を挑む構えだ。
中止命令は「日本市場は閉鎖的」との見方を強めるとの批判もある一方で、Jパワーのような特殊法人などを安易に上場させることを問題視する向きも少なくない。
Jパワーが一部上場したのは、小泉純一郎政権下の平成16年。もともと、特殊法人だったJパワーの株式は、政府の保有する3分の2分以外は電力9社が保有していた。電力9社は上場後も株式保有を主張したが、「官から民へ」をキャッチフレーズにする政権下で全株放出が決まった。
今回、中止命令に至ったのは、大間原発と送電線への影響が懸念されたためだが、自民党からは「安易な上場が中止命令を招いた」(田村耕太郎参院議員)と、特殊法人などの民営化企業の上場に際し、慎重な対応を求める声が出ている。議論の行方次第では黄金株の付与や上場の見送りのほか、各社の行うべき業務を個別の法律で細かく規定し、「業務の中止・変更ができないようにする」(内閣府幹部)ことも想定される。
特殊法人などの民営化会社では成田国際空港が平成21年度中、日本郵政グループが22年度中の上場を目指しているほか、高速道路各社も早期上場が求められており、今回の事態をきっかけに再考を促される可能性もある。