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vol.364
(2008.06/30-07/06)
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撮影:加藤大毅
INTERVIEW vol.364

初舞台『フラガール』で新境地に挑む

阿部 力

テレビドラマで大ブレイクした『花より男子』シリーズの最終章となる映画『花より男子ファイナル』が先週末に公開された。阿部力が『花男』の次に挑戦するのは、一昨年の映画賞を総なめにした『フラガール』の舞台。福島の炭坑町を舞台に、ハワイアンセンターで町の再生を図ろうとする人々の姿を描いたヒューマンな作品で、阿部は役者としての新境地に挑もうとしている。

「舞台って素敵だと思う。本当に自分が生きてる感じがします」

 おっとりした語り口に、柔らかな笑顔。澄んだ茶色い瞳に整った顔立ちの阿部は、『花男』でのキラキラ感とも違う、かといって新たに演じる炭坑夫のイメージともかけ離れた、独特の美しい雰囲気をかもしていた。阿部の『フラガール』との出会いは2年前。映画を2回観たことから始まった。

「最初は公開前に試写を観せてもらったんですけど、すごく好きな映画で、感動して泣いてしまいました。でも、周りがほとんど女性でみんな号泣していたから、もしかしてその雰囲気につられて泣いたのかもしれないと思い、劇場にもう一度観に行ったんですよ。でも、やっぱり同じポイントで泣けました。フラダンスに反対していたお母さんが、娘の稽古場をこっそりのぞきに来るシーンなんですけど、親子モノは弱いんですよ」

『フラガール』の舞台は昭和40年の福島。閉鎖の迫る炭坑の町を救うため、北国をハワイに変えるという一大プロジェクトに携わった人々の姿を描いた実話に基づく物語だ。阿部が演じるのは、周囲の反対を押し切ってフラダンスに情熱を傾ける主人公の紀美子(福田沙紀)の兄で、炭坑で働く、洋ニ朗。

「炭坑で働いてる男くさい人たちが、東京からフラダンスを教えにきた今どきの先生とぶつかり合うところなどに、僕はすごく惹かれましたね。生きるための手段を確保する強さというか、人間のパワーがすごい作品だと思うんですよ。それが今の東京なら、アルバイトをやっても普通に生きていけるかもしれないけど、昔の人の強い生き方は素晴らしいと思いましたね。僕は中国の黒龍江省で生まれたんですけど、炭坑もあったし、古くさい雰囲気はちょっと似てるところがあるんですよ。内陸だから冬は零下30度くらいになるけど、子どものころは平気で外で遊んでいましたし」

 舞台への出演は今回が初めて。「不安もあった」ということだが、カメラの前で演技するテレビドラマや映画とは違う生の魅力を早くも感じている。

「『花男』のキャンペーンで(小栗)旬と会った時、舞台経験が豊富だからアドバイスをもらおうと思って聞いたんですけど、“大丈夫、やれるよ”って言われちゃって(笑)。でも、稽古に入ってすぐ、本当に楽しいと感じたんです。例えばドラマなら、リハーサルから本番までやっても、ひとつのシーンを3、4回しか演じることはできないけど、舞台の稽古なら、自分の気持ちをちゃんと持っていけるまで何度も練習できる。本当に自分が生きてるというか、演じてる実感がすごくて、舞台って素敵だなと思いましたね。『花男』の撮影も終わってからだったので、いい切り替えになったし、髪も切ろうと思ってます。炭坑に長髪の人はいないですからね」

 いわき弁の独特のイントネーションも、方言指導の先生にセリフを吹き込んでもらい、毎日聞いてトレーニングを重ねている。「感情が入ると普通のしゃべり方になったりするので難しいですけど、まわりが舞台経験豊富な方ばかりなので、一緒に話しながら役作りを考えたりしているんですよ。田山(涼成)さんなんか、お弁当を食べるときも“うまいなぁ”とか方言でしゃべったりするから、さすがだなと思いますね」

 阿部が演じる洋二朗は、映画では豊川悦司が演じた役だ。「大好きな役者さん」という豊川の役を受け継ぐことにも、役者としてかきたてられるものがあるようだ。

「以前『大停電の夜に』という映画で共演させてもらったんですけど、一緒のシーンがなくてすごく残念だったんです。それが今回、豊川さんがやった役を自分がやることになって、洋二朗は豊川さんぐらいの年齢なのかとか、いろいろ考えましたね。でも、稽古に入ってから演出家の山田(和也)さんに聞いたら、“阿部くんに近い年齢でいいんじゃない”と言われて。あまり映画のことは考えないで、自分なりの洋二朗を作っていけたらいいかなと思ってます」

 毎日が楽しい、という稽古では、ダンスの先生、まどか役の片瀬那奈からフラダンスも教わったそうだ。「見ていると、すごくキレイなんですよ。でも、ちょっと踊ってみたら腰が痛くなりました(笑)。練習すれば僕もできるかもしれないけど、キレイに踊るのは相当大変だろうと思いました」。本番では、総勢26名のフラガールたちが、さまざまな踊りを披露するのも見所のひとつ。カーテンコールでぜひ阿部の踊りも見たいとリクエストすると、「片瀬さんもそう言うんですけど…余裕があったら考えます(笑)」

 今はまだ余裕を持てるところまではいっていない。でも毎日ワクワクした気持ちで初日に向かっている。「楽しくやっていけそうな気がします」と、阿部はまっすぐな視線を向けた。初日の幕は、7月18日に開く。




(取材・文/幸野敦子)

舞台『フラガール』 脚本:羽原大介/演出:山田和也/出演:福田沙紀、片瀬那奈、阿部力、根本はるみ、今井りか、風間水希、福本伸一、華城季帆、田山涼成、久世星佳ほか 7月18日〜8月6日 赤坂ACTシアター S席9000円、A席7500円 問い合わせ:チケットスペース 03-3234-9999 http://ints.co.jp


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