|
気さくで朗らかなミシェル。撮影現場の雰囲気もさぞ彼女のおかげで明るくなったに違いない。 実は本作のオファーが来たとき、他の作品に入っていたというミシェル。 「プラハでヴィン・ディーゼル監督の新作の撮影に入っているところだったの。たいてい私は、1つの作品に入ると集中がそがれるのが嫌で、他のオファーは受けないことにしているのだけど、L.A.のエージェントがとにかく読んでみてほしいと、脚本とロブ・コーエン監督の手紙を送ってくれた。もともと私はコーエン監督の映画が大好きなの。ブルース・リーの人生を描いた『ドラゴン/ブルース・リー物語』には、彼の中国文化への尊重の念を感じたわ。いわゆる西洋人が“中国人はこうだろう”と思うような解釈ではなく、忠実に私たちのことを表現してくれると感じていた。それに、私自身も『ハムナプトラ』シリーズが大好きだし、皇帝役はジェット・リーだという。こうなったらNOという理由はどこにもないわ(笑)」 ブレンダン・フレイザー演じる主人公オコナー一家が、中国で古代の皇帝のミイラをよみがえらせてしまうという物語。監督による中国文化へのリスペクトが生かされているのが本作の魅力だ。 「もちろんこれはドキュメンタリーではないから、中国の実際の歴史に基づいていることではないわ。中国に動くミイラはいないしね(笑)。万里の長城や、兵馬傭といった歴史遺産をモチーフに、楽しいアクションファンタジーとして、ユニバーサルスタジオでジェットコースターに乗っているような感覚で楽しんでもらえる映画というわけ。でも大事なことは、ロブがアジアの文化をとても大事にしているということ。彼は仏教徒でもあるから中身はアジア人といっていいと思うわ(笑)」 悠久の時を生きるミステリアスな呪術師ツイ・ユアン役に、監督はミシェルの出演を熱望したという。それはやはりミシェルの“永遠の美しさ”ゆえ? 「そんなことはないと思うけど(笑)。ロブが私から引き出そうとしたのは、エレガンスさと知恵の部分じゃないかしら。ツイは妖精のような存在だったけれど、愛と憎しみを知り2000年の時を生きる。私の目を見て、2000年の時を経てきた人物なんだと観客に感じさせなくてはいけない。そんな要素を見出してくれたんだと思うわ」 経験豊かなミシェルは、現場でも多くのアイデアを出し、監督を喜ばせたようだ。 「ロブはとてもオープンな人だから、俳優の意見を取り入れたり、議論をするのが大好きなの。俳優というのはそれぞれの考えを持っているもの。それを選び、取りまとめるのが監督よ。ジグソーパズルのようにね。例えば、サンスクリット語の書物を空中に広げるシーンがあるんだけれど、あれは私のアイデアなのよ。もともとは普通に本を広げるというものだったの。このアイデアを言うと、彼は“そうだね、もう1回スタジオに掛け合ってお金を取ってくるよ!”と(笑)。そのおかげで実現できたのよ」 共演のジェット・リーとは、古くからの親友同士。撮影現場も、とても楽しいものになった。 「ジェットとは、お互いに“私の兄弟です”と紹介できるほどの仲よ(笑)。私たちが本当に楽しそうに話して笑いあっているものだからロブも“何を話しているの、知りたいよ”って。ある日ブレンダンに“明日、ジェット・リーとの対決シーンがあるんだけどどうしたらいい”って聞かれたので“彼はマーシャルアーツの達人だから、1回殴ったらあとは逃げるしかないわね”と言ってあげたわ(笑)」 これまで、数々の人気俳優と共演してきたミシェル。今年、アジアから唯一“ボンド・ガール ベスト10”に選ばれた。 「私はとてもラッキーだと思う。これまで共演してきた相手はアクションの面でも、演技の面でもみんな素晴らしい俳優ばかり。ジャッキー・チェン、ピアース・ブロスナン、渡辺謙、役所広司、真田広之…。すべての瞬間を楽しめたわ。映画は一人だけではつまらなくなるもの。共演者とのやり取りが充実していると、作品も良いものになるんだと思うわ」 人に、仕事に、人生に…オープンハートなミシェルは、インターナショナルな世界で活躍するアジア女優の、到達点のように思える。 (本紙・秋吉布由子)
|