MAKIDAI「僕らはウータン・クランから影響を受けた」PKCZ® 初アルバムについて語る

撮影・仲西マティアス

ウータン・クランのメソッドマンとも共作


ーーアルバムでは、多くの海外アーティストともコラボレーションしている。

M「Wu-Tang ClanのMETHOD MAN(メソッドマン)は、アメリカの90‘Sを代表するラッパーなんですけど、その彼とも『INTO THE CIRCLE』という曲で一緒にやっています。ホットミュージックというネタ元があるんですけど、サンプリング許諾もとって、僕らなりにそれ以外の部分をイメージし、ディレクションやプロデュース的な感じで携わった。その上でメンバー同士、意見を出し合い、ブラッシュアップをしていきました。90’Sの今やっているラッパーの中で、誰がいいかと話し合っていた時に、何人か候補はいたんですけど、DARUMAさんが神の一声で、“やるならメソッドマン”と(笑)」

D「ダメ元で行くなら、メソッドマンでしょって。誰がOK出してくれるか分からないなら、とにかく一番好きな人にいこうと思っていたので」

M「みんな共通で好きな人でしたし、ダメ元でいってみたらOKが出た。そこから作業が始まり、あの楽曲が誕生したわけです。ですから、いきなり座組みがあって、ドーンとスタートしたというより、段階を経て、1つずつ会議を繰り返して、作品を作り上げていったという感じです」

ーー最初から海外を意識してのアルバム作りだったのか。

D「そこもHIROさんが、もっと海外との連携を取ったほうがいいとアドバイスをくれて、9割ぐらいアルバムができていた段階で、そこからテコ入れした部分もありました。PKCZ®は海外にも目を向けるべきだと言ってもらったので、試行錯誤し、練り直した結果、さらに厚みのあるものになったと思います」

ーー7月には、ベルギーで行われた世界指折りのダンスミュージックのフェス『Tomorrowland』に出演。

D「ある程度の結果は得られたのかなっていう感じですね。行ってみるまでは、本当にどうなるか全く分からなかったので不安でした。海外だと僕らは無名の新人アーティストなので、単に音楽の力だけで勝負しなければならない。果たしてそれがどこまで通用するのかっていうのが試せたと思います。僕らがプレイをしていたのは、室内だったので、雨が降ってきたことで、お客さんが入った部分もありました。でも現地にいた友達のYellow Clawというアーティストに、“雨が降ってきたというラッキーな部分はあるかもしれないけど、そこで音楽が悪かったら、晴れた時に出て行っちゃうと思う。でもお客さんたちは残って、きちんと最後まで盛り上がりを作れたっていうのは、DJが良かったっていうことだと思うよ”って言ってもらい、それもすごく自信につながりました。自分たちが思っている通りになったところもあるし、ダメなところも逆に明確に理解でき、僕自身すごくいい経験になりました」

M「ヨーロッパでしたし、アメリカとも日本ともアジアとも違い、その国々で盛り上がりやすい、受け入れられやすい曲調やジャンルがあるとは思っていた。それも踏まえてDJプレイで表現する上で、どうすればうまく盛り込めるかというのを3人でセッションしました。また、プラスアルファの部分として、衣装をハッピにするなど、海外の人が思う日本っぽさを取り入れたほか、ゲームやアニメ、映画など、どの程度知られているか分かりませんでしたが、そういうのをワイドにとらえてやってみるなどの工夫もした。その結果、うまくいった事もありましたし、もちろん改善点も全然ありましたが、ともかくものすごくいい経験になったのは間違いないですね」

D「ちゃんと海外でこのまま経験を積んでいけば、まったく歯が立たないっていうことはないなと。日本以外のところで、DJとして勝負していけるっていう自信にはつながりました」

PKCZ®はまだまだ成長、変化していく


ーーPKCZ®としての今後の展開は?

D「僕自身、今身の回りに起こっていることは、本当にとんでもないレベルのことで、漠然と夢をみているというよりは、夢が叶っていっている最中です。だからこそ、1つ1つ確実にやっていきたい。ここ何年間かは、PKCZ®にしっかり集中して、どこまで盛り上げられるかというのを、目標としてやっていこうと思っています」

M「このPKCZ®というグループを、海外を含めより広い視野でやっていく中で、一人でも多くの人にPKCZ®と一緒にやってよかったと言ってもらえるようにしていきたい。PKCZ®とやるとなんか面白いねとか、そういう存在になっていけたらいいかなと思っています。それには、自分たちだけでは考えられない事も、人と混ざったり、アイデアを出し合ったりする事で、パワーアップしていくことができると思うので、いろいろなジャンルのクリエイティブな人たちとも積極的に交わっていければと思います」