東電株主総会は大企業の委任状で中身ゼロ

 福島第1原子力発電所事故で厳しい経営が続く東京電力の株主総会が28日、都内のホテルで開かれた。

 原発事故への関心を裏付けるように、総会に出席した株主は過去最高だった昨年の3342人を大幅に上回る9309人。所要時間は6時間9分と、平成11年の3時間42分を大幅に超える過去最長となった。

 総会は東電側の議事進行をめぐって紛糾した。

 東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにもかかわらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。

 株主402人が提案した原発撤退を求める脱原発議案は、賛成約8%、反対約89%、棄権・無効が約3%の「反対多数」で否決した。企業などの大株主や機関投資家の大半が反対に回ったとみられる。

 また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。

 理由は企業などの大株主から委任状を預かっているということ。個人株主たちの、当たり前の意見はほとんど聞き入れられなかった。