SPECIAL INTERVIEW 大島優子 ドキュメンタリー映画が公開

今や“会いに行けるアイドル”から“国民的スター”となった少女たち。華やかなスポットライトを浴びる彼女たちの姿と、その裏にある苦悩を赤裸々に映したAKB48のドキュメンタリー映画が公開された。

 AKB48のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』が公開中だ。絶対エース前田敦子とツートップでグループを支えてきた大島優子が、その見どころについて語る。

「映画では撮影された映像の何が使われるか全然知らないんです。AKB48に入った当時からずっと、レッスンの風景も含めて、記録としてカメラが入っていたので、実はまったく警戒心がなくて、いつ撮られていたのかもわからない(笑)。だから素のまま。みんながみんな言っていることがすべて事実なので、それしか映っていないと思います。シナリオもないし、考えてきたセリフもない。毎回そうなんですけど、これまでの作品で自分の知らないAKB48を知りましたし、今回の作品でもそうでした」

 2012年は、AKB48にとっても激動の年だった。前田敦子の卒業、夢だった東京ドームでの公演、選抜じゃんけん大会の大波乱、前田抜きの選抜総選挙、そして組閣など。それぞれの出来事に全力で向かって行った大島が感じていたこととは。

「結構、踏み込んだところまで語っています。恋愛禁止のルールだったり、メンバー間の格差問題だったり…。AKB48の中でも選抜に入っているメンバーと入っていないメンバー、中にはずっと入ったことがないメンバーもいます。一方で移籍組とか、それぞれのポジションについても、みんないろいろ思うところがあるので。同期でスタートしたにもかかわらず、自分のポジションが変われば、その関係性も変わっていくし。そういう気持ちを結構赤裸々に話していますね。そういう事って普段一緒に活動していても聞くこともなければ話すこともない。私がセンターをやったことや、キャプテンをやっていることに関して、メンバーはどう思っているのか聞いた事がないし、私もあまりそれを深く話すことがないので…。それを知るのは楽しみでもあるけどちょっと怖いですね」

 前には誰もいない、そして後ろからは大勢の友でありライバルがその背中を見ているセンターは孤独だ。そんな大島が映画で自分自身をさらけ出すことに関して持つ複雑な思いを語る。

「メンバーも若返った感があるから、前2作とは多少テイストが違う映画だとは思いますが、私個人としては、すべてに出ているので、ちょっと怖さを感じています。なんていうのかな…人って知らない部分があるから、ずっと興味を持つし、応援してくれるんだと思うんです。それにもっと知りたい、追求したいっていう心情になると思うんです。でもこれまでも自分をさらしてきたから、ここまで見せちゃうと私の全部が知られるんじゃないかっていう不安もあるんです」

 自分を全部見せることが怖いという大島だが、その素のひたむきな姿に人は心を打たれるのでは。

「そうですね。私たちって自分の夢に向かってただひたすら走っているだけの、まだまだアマチュアな部分のある集団だと思っています。でもがむしゃらに全力でやるしかないんです。その姿を見て、頑張ってほしいと思われるよりも、何か自分も夢を見つけようかなとか、夢のために頑張ろうかなって思っている方々の背中を押す材料のひとつになれればいいなって思いますね」

 AKB48のセンターということは、アイドルとして頂点にいるということ。しかし大島は、時々不安を口にする。その反面、夢を持つ人たちに自分たちの姿を見せることで、勇気を持ってほしいとも。映画を通して伝えたい思いは熱い。

「ドキュメンタリー映画って、映画館に見に行くことってあんまりないと思うんです。ましてやアイドルグループのドキュメンタリーですから、人目も気になるかもしれないし、何より一人で見に行きづらいと思います。でも映画の中の全力で何かに取り組んでいる姿とか、汗水たらしてがむしゃらに努力する姿、そしてタイトルにもあるように、常に泣きながらでも歯を食いしばって前に進もうとする姿を見てほしい。レベルの低い涙なのかもしれません。でもそれなりにみんな一生懸命いろいろ考えて、受け取って、いろんなものを削って涙を流しているので、その涙がみなさんのパワーになればいいなって思っています」(本紙・水野陽子)

『DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?』
TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー中。【公式HP】www.2012-akb48.jp