ニュースの焦点 エジプトで熱気球爆発 19人犠牲 4邦人死亡

 エジプト南部ルクソールで26日午前(日本時間同日午後)、外国人観光客ら21人が乗った熱気球が空中で爆発し、日本人4人を含む外国人観光客19人が死亡した。

 旅行大手JTBのグループ会社は、気球ツアーに参加していた東京在住の夫婦2組4人の死亡を確認したと発表した。ルクソール当局は26日、すべての気球ツアーの停止を決めた。
 カンディール首相は26日、民間航空省に調査委員会の設置を命じた。AFPによると、2009年にも外国人観光客が負傷する気球事故が起きていた。

 この事故で、同国の民間航空省関係者は27日、エジプト人操縦士が最初にガスボンベ周辺から出火した際に、バルブを閉めるなどの処置をしなかった「人的ミス」が原因との見方を示した。操縦士は消火活動にも当たらずに気球から飛び降りて脱出し重傷を負った。

 また、国営中東通信によると、気球を運航していたツアー会社「スカイクルーズ」が、2011年2月のムバラク政権崩壊後、気象当局との契約を打ち切り、気球運航に必要な気象情報がない状態で営業を続けていた。定められた場所とは違う地点で気球を発着させるなどの違反行為も繰り返しており、操縦士とともに同社の法的責任が問われる可能性がある。

 一方、同国の事故調査委員会が現地入りし、気球の残骸を回収、本格的な調査を開始した。調査は2週間はかかる見通し。

 死亡した東京都在住の柘植(つげ)和夫さん(66)と妻、晴美さん(63)、寺田康秀さん(63)と妻、麻子さん(63)の遺体は26日、首都カイロに搬送。身元の確認後、遺体は日本に搬送される。
 今回の事故では、気球の着陸直前にガスボンベ周辺から火の手が上がり、急上昇した後に爆発し墜落したとされる。

 気球は数回の小さな爆発で制御不能になり、大きく爆発して急上昇、操縦士が飛び降りた地点から約200メートル離れた畑に墜落した。

 赤ん坊と一緒に気球に乗っていた妻を見上げながら「プリーズ、ヘルプ」と地上で何度も叫んでいた夫もいた。この妻ら7人は操縦士の後を追って飛び降り死亡。墜落地点で10人の死亡が確認された。
民間航空省によると、操縦士は今年1月に免許を更新、スカイクルーズ社も2月13〜15日に定期検査を受けたばかりだった。

 同省関係者は、免許更新手続きに不備はなかったというが、地元ルクソール県当局からは、11年の政変以降、同省の検査がずさんになっていたとの批判も出ている。