9.20「UFC FIGHT NIGHT JAPAN 2014」開催 五味隆典 インタビュー

さいたまスーパーアリーナで9月20日(土)に開催される総合格闘技イベント「UFC FIG
HT NIGHT JAPAN 2014」に出場する五味隆典。対戦相手は13戦無敗の記録更新中のマイルズ・ジュリー。特に注目の高いカードとなった試合を控えた五味が意気込みを語る。

 日本の総合格闘技界を牽引してきた五味隆典。現在活躍している選手にもあこがれの存在と言わしめる、まさに総合格闘技界のカリスマが9月20日、「UFC FIGHT NIGHT JAPAN 2014」のリングに立つ。対戦相手は今最も勢いのあるアメリカのマイルズ・ジュリー。五味との年齢差は10歳という若手ファイターだ。実はこの対戦は「日本のファンが納得できる強い選手とやりたい」と五味が直訴して実現したカード。実際にカードが発表された時はどう感じたのか。

「僕のリクエスト通りでしたから、それは感謝しています。日本のファンの前でやる以上、ファンが納得する相手とやりたかったし、ただの消化試合を続けてもあまり意味がない。形が残る対戦相手をとお願いしました。まあ、若くて勢いがあって、実力的には上位ランカーに匹敵するぐらいのものはあるんじゃないですかね。こんなに年の離れた選手と戦うのは初めてかも知れない。ちょうど10歳下の25歳ですけど、僕にも25歳の時がありましたから、年のことはあまり考えても仕方ない。時間だけはどんな人にも平等に流れますからね。だから若さや勢いではなく、逆にその勢いとか若さで油断しているところをつければいいかなと思っています。水垣(偉弥)選手を見ても、タイトルマッチを日本でいきなりやるっていうのはなかなか難しいんですよ。アメリカの選手がわざわざ、日本人とやるために来日するっていうのがね。向こうでとって、チャンピオンになって日本でやるっていうのは可能なんでしょうけど。今回もランキング入りしている選手からすると、ノーランカーの選手となんでわざわざ日本でやらなきゃいけないんだっていうのがあると思うんです。やっぱりアメリカで人気があるものだから。ですから、今回こうやって応えてくれる選手がいたことに感謝ですし、チャンスだと思ってやるだけです」

 現在36歳。ベテランファイターと呼ばれるようになったが、自分自身は年齢を感じたりしていないのだろうか。

「年齢ね…。年齢、どうなんだろう。僕ね、プロデビューして16年になるんですよ。中学校の終わりぐらいに、なにも挑戦しないまま人生終わるのが嫌だと思ってボクシングに挑戦したんです。本当はプロ野球選手になりたかったんですけど、個人でプロになれるっていったら格闘技しかなかったし、もともとボクシングも好きだったので。また、ちょうどそのころ、辰吉(丈一郎)選手とかが活躍していたので、中学卒業と同時にボクシングを始めたんです。で、20歳でプロになったんですけど、デビューした時に“俺はやっとこの世界に受け入れられたんだな”って思ったんです。この世界で受け入れられないと生きていくすべはないという思いがありましたからすごく緊張しましたが、受け入れてくれたっていう思いは今も覚えています。それからずっとやってきて、勝った試合もあるし、負けた試合もある。まあ、負けた試合は思い出したくないからあまり覚えてないけど(笑)。でもあまり負けてないですよ。それからは同じことの繰り返しです。もちろんトレーニング方法も変えますし、いろいろなことを工夫したり、挑戦したりしながらやっていますが、人生いろいろ経験すると同じ事の繰り返しだって気づきますから。年齢を重ねて分かることってそういことですよね。みんなそうじゃないの? 怖いもの知らずで、試合をすること自体が楽しいっていう時期の若い人に比べると経験がありますから、年齢がどうとかよりそんなことを考えていますけどね」

 普段は自分のジムで指導者としても活動している。

「そんなに神経質にはやっていませんけどね。食事とかサプリメントとか、そういうのもそんなに神経質じゃない。ただ、1年を通してジムがありますから。ジムで最低限のトレーニングをしたり、ジム生の練習をみたりしていますので、自分のことだけじゃない時間も多いです。減量もこれからなので、トレーニングと自分のためだけの時間をちょっとさきながらやっていきます。ジムには何人かプロの選手も出てきていますが、ゆくゆくはちびっこレスリングもやりたいと思っているんですよ。ちびっこは素晴らしいエナジーを持っていますから、総合格闘技をやるような子が育っていったらいいですね。あと、格闘技以外はスケボーとか好きです。最近夜中にスケボーを公園でよくやっています。サーフィンなんかもやりましたけど、車に道具積んだり、行くまでがなかなか大変なので、今はもっぱらスケボーしてます。飛んだり跳ねたりしないので、怪我もしませんし(笑)」

 佐々木憂流迦をはじめ、五味にあこがれて格闘家になった選手も多い。

「うれしいですよね。素直に。自分では自分の魅力って分からないです。それはあこがれてくれた人に聞いてみなきゃ(笑)。でもそれは一切言わないですよ。会った時も。言ってくれないから分からないけど、その子もプロになった瞬間同じ土俵だから。だからどこかで追いついてきて、同じリングで活躍して、目標にしてくれたらうれしいですけどね。選手もそうですけど、ファンの方も好みの選手を見つけてみればいいと思いますよ。そうすると感情移入しやすくなるから。その選手目当てで行った試合で、ほかのいろいろな選手も見られるし、そうやって楽しんでもらえればいいんじゃないかな。今度の試合は、やってみなきゃ分からないけど、日本でやるから多分すごく応援をしていただけると思うんですよ。だからそういう意味では、日本人の中でも主役になれるようにしたいです。メインイベントはヘビー級の試合ですけど、日本人の中では一番いい試合だったって言われるように頑張ります」

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UFC 144(2012年2月26日)
○五味隆典(2R 2:21 TKO)光岡映二●

五味が光岡映二に2RTKO勝ち。ケージに駆け上がり超満員のファンに勝利をアピール(2012年2月26日、さいたまスーパーアリーナ「UFC 144」)


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UFC JAPAN 2013(2013年3月3日) ●五味隆典(判定1−2)ディエゴ・サンチェス○ 五味の右ストレートがディエゴ・サンチェスの顔面を襲う。試合は五味が終始優勢に進めたものの、1−2の判定でサンチェスの勝利が告げられた。その瞬間、会場は大ブーイングに包まれた。試合後(2013年3月3日、さいたまスーパーアリーナ「UFC JAPAN 2013」)