錦織 全米オープンテニス決勝進出も準優勝

 テニスの全米オープンは8日(日本時間9日)男子シングルス決勝が行われ、男女を通じて日本選手として初めて四大大会のシングルス決勝に進んだ第10シードの錦織圭(24)は、第14シードのマリン・チリッチ(25)=クロアチア=に3−6、3−6、3−6で敗れ、準優勝に終わった。

 錦織はチリッチの強力なサーブに苦戦。四大大会シングルス初優勝は逃したが男子の決勝進出はアジア初の快挙。試合後「また決勝に戻ってきたい」と再挑戦を誓った。

 錦織は3日(日本時間4日)に行われた準々決勝で、世界ランキング4位のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)をフルセットの末に破り、日本選手としては1918年大会の熊谷一弥以来96年ぶりとなる準決勝を果たした。4回戦では4時間19分の死闘を繰り広げたのだが、この試合も4時間を超える厳しいもの。錦織のスタミナと回復力を、米メディアは「マラソン・マン」と称賛した。

 続く準決勝の相手は第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)。世界ランク1位に君臨するこの強豪を相手に錦織は第1セットから果敢に攻め、6−4、1−6、7−6、6−3で破った。

 ジョコビッチは「以前よりフォアも素晴らしいし、バックハンドはどの角度からでも打てる最高の質を兼ね備えている」と錦織を称賛した。

 四大大会シングルスで男女を通じ日本選手で初の決勝進出はもとより、日本選手が四大大会のシングルスで第1シードに勝ったのも史上初めて。そしてこの試合も2時間52分に及ぶ激闘だった。

 決勝の相手はクロアチアのマリン・チリッチ。過去5勝2敗とリードしている相手とあって、初優勝も期待された。しかしチリッチも元世界王者・フェデラーを破っての決勝進出で、こちらも絶好調。

 試合は身長差20センチ。198センチもあるチリッチの210キロ超の高速サーブに翻弄され、勝負どころで左右に振られ、ラケットの芯を外される。バックとフォアのストロークに精緻さを欠き、空中で強打する“エア・ケイ”も鳴りを潜め、ストレート負けした。

 試合後、錦織は「勝てるというのが少し見えたのが良くなかった。迷走していた。正直、フェデラーとのほうがやりやすかったかもしれない。ここまで硬くなったのは久しぶり。試合に入り込めなかった」と悔やんだ。決勝独特の重圧にのまれ「勝ちたい」と意識したことも裏目に出た。しかし今回の躍進で試合前に発表された世界ランキングで、錦織は8位に上昇した。

 錦織はマレーシアオープン(9月22〜28日)を経て、楽天ジャパンオープン(9月29〜10月5日)に出場の予定だ。