落語は見る人の想像力が大切。落語家に頼っちゃいけません(笑) 三遊亭兼好

普段から着物を着用し、落語家らしい落語家の出で立ちの三遊亭兼好。日曜夕方の人気番組「笑点」のピンクの着物・三遊亭好楽の弟子で、今や協会を超えてさまざまな落語会の高座に上がる兼好だが、前職が魚河岸勤務という意外な一面も。「落語のことを何にも知らないで入門した」という兼好が今や引っ張りだこの人気落語家になるまで。

 入門は運命?!

「来月45歳になるんですけど、実は27歳まで生の落語を見たことも聞いたこともなかった(笑)。だから落語の団体も落語家もあまりよく知らなくて。今の師匠に弟子入りしたのも偶然なようなもので…。私は見ての通り全然落ち着きがなく(笑)、それまで転々といろいろな仕事をしてきたんですね。それで27歳の時に魚河岸で働いていたんですけど、仕事が午前中に終わっちゃうんです。まあ、飲みに行くといっても店は開いてないですし、退屈ですから昼間からやっているところということで、寄席に通うようになりまして。それ見ていたらね、すごく楽そうなんですよ、落語家って(笑)。実際高座に出てきて、ちょっと喋って帰るだけじゃないですか。それで、そこに出ていた落語協会の方に聞いたら、弟子になるのは多分無理だよと。というのも当時、もう結婚していましたし、子どもも2人いましたから。それで、一旦あきらめたんですけど、28歳の時に、やっぱり入門しようと決意したわけです。そこで誰のところに入門しようかと考えたときに、私の中では落語といえば「笑点」でしたから、その中の師匠がいいかな…って。そう思っていると、たまたま行った落語会にうちの師匠が偶然出演されていることがよくあったんです。また、いろいろ調べたら、近くに住んでいることも分かり、これは運命だと一方的に思いました(笑)。で、たまたまスクーターで帰る時に師匠をお見かけして、弟子入りをお願いしました。でも最初は年齢で断られ、次は結婚していたので断られ、最後は子どもがいるって言ったら“帰れ!”って(笑)。いっぺんに聞いてくれたらいいのに、何回も同じようなやり取りをして、やっと入門を許可してもらいました」

 家庭がありながら思い切った決断だが、奥さんは反対しなかったのか。

「もちろん、しましたよ。でもかみさんも落語のことを全然知らなかったし、それまでも転職を繰り返していたので、 “何をやっても続かなかったんだから、やめたら”って感じですよ(笑)。多分、分かっていたら全力で止めたでしょうね。だって無給金ですから(笑)」

 落語会ではまだまだ若手と言われているが、今年弟子を取った。

「2年ぐらい断っていたんですけど…。かみさんも含め、そろそろいいんじゃないかっていう事になり、今年の6月に正式に弟子をとりました。でもこっちは、弟子になりたくて来てくれているからいいんですけど、かみさんにしてみれば完全な赤の他人だから大変だと思いますよ。これが犬とかだったら、ちょっとは癒されるんでしょうけど(笑)。一応修行として部屋を掃除させるんですけど、あんまり汚い部屋を掃除させるのは嫌だ。でもあまり綺麗だと掃除させるところがない。だから弟子が来る前に、ちょうどいいぐらい掃除をするんです。掃除をさせるための掃除(笑)。それってね、すごく思い当たるんですよ。自分が前座のころに師匠の家にいって掃除をしていた時もちょうど良かったなと。私が触っていいものが散らばっている。そういうことが分かり、自分が弟子をとって、本当に師匠の苦労というか、気持ちがよく分かりました。でもそれを今さらお礼に伺うわけにはいかないので、結局それを弟子にやっていく。そうやって続いていくんでしょうね」

 明るくて華やかな高座の兼好師匠。落語初心者が落語を楽しむコツは?

「落語って想像力なので、最終的には自分で自分を笑うんですね。直に見たものではなく、話に入っていって、自分が想像したもので笑う。つまり、自分のユーモアセンスが試されます(笑)。だから、何かをしてもらって笑わせてもらおうと思ったらダメ(笑)。落語家に頼っちゃダメです。我々はきっかけを与えて、お客さんのスクリーンに、楽しいものを映し出す。そういう意味では、楽しもうって思わないと楽しめないかも知れませんね。でも逆に楽しみたいっていう気持ちがあれば、こんなに簡単に楽しめるものはない。だって、なんの装置も、ルール説明もないのに、お客さんは理解してくれる。これってほかの国ではほとんどできないんですって。この落語っていう芸能が成り立っているのは、お客さんのレベルが高いってことなんですよね。蕎麦を食べる真似しているのをバカバカしいと思わないところが逆に賢くて、そこを楽しもうっていうのが素晴らしい。だから日本人って優秀なんでしょうね。それにボケ防止にもなる(笑)。やってる人もボケてないですから。うちの師匠だって68歳ですからね。あと笑点だとたい平師匠が50歳。普通の50歳、あんなに飛んだりしないでしょう(笑)」 (本紙・水野陽子)

三遊亭兼好横浜ひとり会
2015年1月11日(日)、横浜にぎわい座(045-231-2515)

県民ホール寄席“三遊亭兼好独演会”
2015年1月21日(水)、神奈川県民ホール(045-242-5697)
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