1・25修斗 環太平洋ライト級王座決定戦で宇野薫敗れる

 プロフェッショナル修斗の公式戦、2015年の開幕戦が25日、東京・後楽園ホールで行われた。メーンでは環太平洋ライト級チャンピオン決定戦が行われ、中村好史が宇野薫を3-0の判定で破り、第6代王者に輝いた。
 宇野が修斗のタイトルに挑むのは2000年12月の佐藤ルミナ戦以来、約14年ぶりということで話題を呼んだが、かねてから「ベルト=強さの称号」という意識を持ち、ランキングがありチャンピオンがいる修斗という競技で戦う以上はベルトを目指したいという思いを持っていた宇野にとってはごく当たり前のこと。
 対する中村は宇野のデビュー戦の相手だった桜井“マッハ”速人の弟子で、マッハや宇野がPRIDEやHIRO’Sといったメジャー団体で活躍する姿を見て格闘技を始めたという26歳。
 昨年5月にはルミナの弟子である土屋大喜に勝利した宇野。そして今度はマッハの弟子との対戦とあって、隔世の感は否めないが、いまだに最前線で戦えるコンディションをキープしているのは、再びUFCで戦うという目標があるから。その目標に向け宇野はここ6戦、修斗とVTJで白星を積み重ねてきた。ここでも求められたのはベルトを獲ることだった。
 しかし勝負の世界は非情。1Rから積極的にタックルからテイクダウンを狙う中村のパワフルな攻めに押される宇野。いつもなら巧みなテクニックで、ここからいつのまにか自分の有利な体勢に持ち込み、スリーパーホールドや腕十字といった“極め”の形に持っていくのだが、この日の中村は試合後「前に出つつも深追いしないで、2、3Rに勝負にいく作戦。テイクダウンをしても一気に狙いすぎないようにした。セコンドの作戦のお陰」と語ったとおり、宇野の術中にははまらなかった。
 2Rは打撃からのタックルで局面打開を図った宇野だが、中村はその攻めをしのぐとややスタミナが切れかかったものの、グラウンドで好ポジションをキープ。後がない宇野は3R、序盤から前に出てタックルからテイクダウン。バックを取って、スリーパーを狙う。
 ここで会場には大“宇野コール”が起こるのだが、強引に脱出した中村は後半の宇野のタックルをつぶし、逆にテイクダウンを奪う。ラウンド終盤、パンチの連打で宇野を追い込むと、今度は会場に大“中村コール”が起きる。ともに死力を尽くし最後まで戦い抜いた2人だが、3-0の判定で中村が勝利を収めた。

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 中村は試合後「ベルトが獲れた、その相手が宇野選手というのがうれしい。僕が格闘技を知るきっかけとなった人の一人。そのお陰で格闘技でやっていこうという夢を持てた。そんな人と最高の舞台で勝ててうれしい。自分はほとんど出稽古に行かないで、マッハ道場で練習している。ここで教わっていることが正しいということを証明したかった。(宇野さんは)気持ちの折れない人。3Rにテイクダウンされた時には“このまま終わっちゃうのかな”と思った。でも声援が背中を押してくれた。毎日の積み重ねが出た」と試合を振り返った。今後は「最高峰で戦いたい、UFCで戦いたいという思いはありますが、まずは世界のベルトが空位になっているのでしっかり獲っていきたいし、防衛してしっかり自分の価値を高めたい。今後は自分たちが盛り上げて、マッハさんや宇野選手のようにあこがれられる選手になりたい」と語った。

 一方の宇野は「中村選手が強くて、僕が弱かった。それだけです。たらればはプロの世界では言ってもしようがない。相手が強かっただけ」と話し、今後については「今すぐは考えられるかどうか。勝ち続けることは非常に難しいこと。こういう形で黒星がついたことについては真摯に受け止めて、次どうするか踏まえて、考えなきゃいけない」と語った。

 この日は、5月3日の後楽園ホール大会が、数多くの格闘家をサポートしている「MOBSTYLES」が今年15周年を迎えたことから、修斗とのコラボイベントとして行うことが発表された。

 出場が予定される斉藤裕、マモル、根津優太、リオン武、土屋大喜、神酒龍一の6選手が休憩前にリングに上がり挨拶。昨年のライト級インフィニティリーグで優勝した斉藤は「チャンピオンクラスの選手とやりたい」とアピール。神酒は2月11日に行われるランボー宏輔vs菅原雅顕の勝者との世界戦に臨む。

 その2月大会では「生城ユウキvs澤田龍人」の注目カードが実現。4月18日大会では大尊伸光の環太平洋ウェルター級初防衛戦が行われる。