武尊が念願のK-1王者に輝く

「新生K-1」を改めて感じさせた「ー55㎏初代王座決定トーナメント」

「K-1 WORLD GP2015 IN JAPAN〜−55㎏初代王座決定トーナメント〜」が19日、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われ、Krush −58kg級王者の武尊が優勝を飾った。

 トーナメントには日本人4人、海外から4人の8選手が参加したが、ベスト4全員が日本人と、この階級での日本人の層の厚さを見せつけた。武尊はその中でも1回戦、準決勝ともにKO勝ちと圧倒的な強さを見せつけ決勝に勝ち上がった。

 対するコーナーに立つのはKrush −55kg級王者の大雅。この2人は昨年11月大会でワンマッチで対戦し武尊がKO勝ちを収めている。

 大雅としては王者の威信にかけて、トーナメントの優勝と武尊へのリベンジを果たしたいところだったが、いかんせん1回戦、準決勝のダメージが大きく、またしても武尊の軍門に下った。しかし常に先に攻撃を仕掛け、勝利への執念を見せ続けたそのファイト内容は会場のファンに大きな感動を与えた。

 試合後、武尊は「全部を出しきったのでなかなか言葉が出て来ない。試合が決まったときからチャンピオンベルトを取ると決めて、精神的にも追い込んでやってきた。これで報われなかったら辞めようと思うくらいの気持ちでやってきたので、本当にうれしくて試合後は涙が止まらなかった」とこの試合にかけた思いを語る。

 そして「地元で高校を退学になって、何をすればいいか分からないときに僕を支えてくれたのが格闘技だった。格闘技で夢をかなえようと思って18歳で(東京に)出てきて、弱かった僕を前田先生は一生懸命育ててくれた。正しいことをしていないときもあったんですが、そういう悪いところも指導してもらって、格闘技ばかりではなく精神面でも前田先生にはお世話になった。その感謝の気持ちを最初に先生に言いました」と試合後のリング上での前田憲作K-1プロデューサーとの長い会話を明かした。

 大雅については「決勝は全く予想外。あんなに体力が残っているとは思わなかった。大雅選手は本当に気持ちが強かった。いい選手。会見などではいろいろ言っていますが、強いと認めているから。対抗心があるからこそ言っている。本当に強かった。それまでの戦いとは違って決勝では前に出てきてくれたのでうれしかったんですが、”もう来るな!”とも途中で思いました(笑)。だからこそああいう決勝戦になったと思うので、大雅選手には”本気でやってくれてありがとう”と言いたい」と語った。