年末に格闘技が帰ってきた!! RIZIN 高谷裕之「今年は充実した年末が過ごせそう。 その日最も盛り上がる試合をします」

RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX2015

 年末に格闘技イベントが帰ってくる。いや、昨年はさいたまスーパーアリーナでDEEPが開催しており、厳密にはイベントは行われていたのだが、PRIDE、DREAMとつながる系譜による大晦日イベントは2012年を最後に終焉を迎えたはずだった。
 しかし今年10月、格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」(12月29〜31日、さいたまスーパーアリーナ)の概要が明らかになった。以降、参戦選手やカードが決まるたびに会見が開かれ、日本格闘技界が活気を取り戻しつつある。

 今大会は29日と31日に開催されるのだが、29日はPRIDE、DREAM、日本の格闘技界のけじめの日ということで「SARA
BAの宴」、31日は全く違うスタイルの総合のイベントで未来の扉を開くことから「IZAの舞」というそれぞれ違ったコンセプトで行われる。
 だからかつての大晦日を彩った選手たちに、この3年の間に日本の格闘技界に現れた新星などさまざまな選手が参戦する。そのなかでも大晦日で多くのドラマを生み出してきた高谷裕之と今大会で総合格闘技に初挑戦するシュートボクシング世界女王のRENAに話を聞く。

 まず大晦日の格闘技イベントが復活したことの率直な感想を。
「やっぱりうれしいですよね。ここ2〜3年は何をしたらいいのか分からないような状態で年末を過ごしていましたから、今年は充実した年末が過ごせるので、すごく楽しみです。また地上波のテレビ中継も復活しますし」

 年末に試合をするのは2012年以来。以降、DREAMが活動を停止し、高谷は2013年からはシュートボクシング(SB)、VTJ、パンクラスといった団体に戦いの場を求めたが、ホームリングという場所がない状態。モチベーションの維持など大変だったのでは?
「確かにそういう感じはありました。小さい会場の時もあって気持ちを盛り上げるのが、大変だった時もあったんですが、なるべくそういうことは考えずに試合に集中するようにはしていました」

 2011年にDREAMフェザー級王者になって以降の高谷は持ち前の攻撃力に加え、テイクダウンディフェンスの向上、減量をはじめとした調整法の確立などファイターとしてグッドなコンディションを保っていた。それからこの2〜3年、思うように試合ができないというフラストレーションはあったのでは?
「確かにそういう部分はあったんですけど、練習環境も結構がらっと変えたことでモチベーションを保つことができました。MMAのトレーニングでは修斗ジム東京、ボクシングではワタナベジムに行かせてもらえるようになったんですが、ワタナベジムはプロボクサーも多いし、上を目指している選手がたくさんいるので、そういうところで刺激をもらって、いい練習ができていました」

 対戦相手はDJ.taiki。こちらも打撃を得意とする選手。
「以前、DREAMのフェザー級トーナメントに一緒に出たことがあって、対戦するかもしれない選手でしたので何回か試合は見たことがあります」

 どういう印象を?
「そこか〜、と思いました。やりにくい相手ではありますよね。キャリアもあるし、強い選手なので。キャラとかは見ないで(笑)、選手として見て集中していこうと思っています」

 DJ.taikiは声優の田村ゆかりの熱狂的なファンであることを公言するほどのアニメ好き。対照的なキャラの持ち主だ。
「キャラ的にはやりにくい。ファイトスタイルもスイッチをしたりといった変則的なところはやりにくいだろうなって思います。でも噛み合うとは思います」

 高谷の試合は29日。せっかくだから31日にやりたかったという思いは?
「31日は、お祭り的なカードが多くなりそうじゃないですか。フライ級の元谷(友貴)選手の試合も29日なんですが、どうせやるならしっかりした試合が多い日にやりたいという思いがあったので良かったんじゃないでしょうか。元谷選手と僕の試合で本格的なMMAを見せたいですね。29日は桜庭さんと青木選手の試合が注目を浴びていますけれど、絶対こっちのほうが沸かせられる試合になると思います」

 高谷の試合は「KO勝利」で終わる時でも、1Rには意外に相手のパンチを食らうことも多い。やはり最初から倒しにいくから?
「なんなんですかね(笑)。攻めることばっかり考えちゃっているからだと思うんですよ。当てることばっかり考えているから、最初にもらっちゃう。2R以降は落ち着いて、というか温まってくる。もらわないで戦えればベストなんですけどね」

 最近では「VTJ 4 th」の内村洋次郎戦も序盤はヒヤヒヤ。でも最後はKOで決めた。見ている側にとっては溜飲が下がる、スカッとする試合だった。
「でもVTJ 2ndでダニエル・ロメロとやったときは、それで一発で終わっちゃったんですよね(笑)」

 多分その振り幅が魅力でもある。
「知り合いのおばさんや八百屋の奥さんなんかに“負けっぷりもいい”っていうことは言われたことはありますね(笑)。そういうことなのかな」

 高谷は現在38歳。実はもうベテラン。さほど蓄積したダメージもなく若々しいのだが、現役生活についてはどういう思いを?
「2〜3年前に、あと10年やるって言ったので、あと7〜8年はやろうと思っています。45歳くらいまではできるんじゃないですかね。腰がダメとか、首が痛いとか、そういうのがないので全然大丈夫だと思うんですよね」

 ではRIZINは高谷裕之の第2章の幕開けといえる大会になる。
「とにかく一番盛り上がる試合をする自信があるので、そこは期待してほしいですね。そして絶対に勝ちます」
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 RIZINの「煽りV」はPRIDE、DREAM、「やれんのか!」などに続き、佐藤大輔氏が手掛ける。選手にとってはそれもモチベーションのひとつとなっている。

「僕の場合はかっこよく撮ってくれているので感謝しています。車やバイクに乗っているところを撮ってくれるんですが、自分がバイクに乗っている時の映像なんて持っていないのでうれしいんですよね。使っていない映像をいただいて家で “おお〜これは老後のいい思い出になるな”って思いながら見ています(笑)」(本紙・本吉英人)

ヘビー級トーナメントにも注目

 バラエティーに富んだ試合が揃った「RIZIN」。世間的に最も注目を集めるのは12年前に「NHK紅白歌合戦」を超える43%の視聴率を記録した曙vsボブ・サップの再戦かもしれない。2人の長所を徹底的に生かしたいということで、今回はシュートボクシングルールを採用。「12年間ずっと悔しい思いをしてきた」という曙のリベンジは果たして…。

 この試合とは対照的なのが世界中の格闘技団体の王者・推薦選手が出場するヘビー級トーナメント。日本代表の石井慧、米国のベラトール代表キング・モー以外の6人は日本では全く無名の存在だ。しかし、かつてK-1の黎明期、果たしてどれだけの人がブランコ・シカティックやアーネスト・ホーストのことを知っていただろうか? 大晦日に行われる決勝は名前にとらわれない、純粋に面白い、見ごたえのある試合が行われるはず。